読書感想:佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 ~魔法少女がアップを始めたようです~

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様は、少し昔に流行ったお笑いのネタである「PPAP」というものを覚えておいでであろうか。いきなり何を言っているのかと思われる読者様もおられるかもしれないが、あのネタは要するに「違うものを一つにつなげる」、という事である。

 

 

では一体、何が言いたいのかと言うと。この作品はつまるところ、異なるジャンルをまるで闇鍋が如く一つに混ぜ合わせた作品なのであり。しかもそれが化学反応が如き変化を起こしたのか、一つの作品の中で引き立て合い共存している作品なのである。

 

大枠のジャンルとして異世界ファンタジー×異能バトル×年の差ラブコメ(?) 更には属性ジャンルとして魔法少女から、ご近所JC、同僚JK、貴族にロリババア、王子まで。そんな全てが一冊に詰め込まれている作品を見た事はあられるであろうか。私はない。

 

場末の中小企業に勤め幾星霜、万年平の社畜な男、佐々木(表紙中央右)。彼はある日、猫を飼い始めた同僚に感化され、寂しさを覚え自身も何か飼いたいとペットショップを訪れる。

 

『我が名はピエルカルロ。異界の徒にして星の賢者』

 

 そんな彼に飼われる事になった文鳥。しかしその文鳥異世界からやってきた高名な賢者の転生した姿。ピーちゃん(佐々木の左肩上)と名付けられた彼と契約を結び、佐々木の突然の異世界との往復生活は幕を開ける。

 

ピーちゃんの力で行き来は自由自在、ならばやることは何か。それ即ち交易。日本からの品物を持ち込み売りさばくという目的を立て、ピーちゃんをアドバイザーに異世界に乗り込んでいく佐々木。

 

 しかし、彼はまだ知らぬ。ファンタジーである異世界に負けず劣らず、現実世界も仰天ファンタジーである事を。そんな世界が彼を取り込もうとやってきているという事を。

 

異世界の貴族と人脈を作り、商売の準備を整える中。現実世界で異能力者同士の戦いを目撃し、やむを得ず介入してしまい、「内閣府超常現象対策局」などという一種の秘密組織に迎え入れられ国家公務員となってしまい。

 

異世界の方でも近隣の国との戦争に巻き込まれ、ピーちゃんと共に戦場に出る事になってしまい。

 

『それに貴様が一緒なら、今回のように苦労することもない』

 

しかし彼はある種凡庸に、いっそ泰然自若とし過ぎている程にいつも通りに。幾つもの修羅場を潜り抜けていく。

 

そんな彼と一羽の周りに、どんどんと個性的どころか個性の箍が外れた面々が揃っていく。

 

異能力者の殲滅を誓うジェイソン系の脅威の魔法少女(表紙上)。ピーちゃんとは旧知の仲な異世界の良き貴族、ミュラー子爵(表紙右から二人目)。彼の娘であり跳ね返りなエルザ(表紙右端)。佐々木の先輩となった高校生異能者、星崎さん(表紙左端)。そして佐々木に日々助けられ歪んだ恋心を抱く、ラノベ界を見渡しても上位五人に入りそうなヤバさを持つ、(個人的)力を持たせてはいけぬ系ヒロイン、お隣さん(表紙中央左)。

 

正に属性のごった煮、そんな中に集うは個性が極まり過ぎた者達。だからこそこの作品、既に中々に奥深さの片鱗を感じさせてくれるのである。

 

味わった事のない混沌を味わってみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 ~魔法少女がアップを始めたようです~ | ぶんころり, カントク |本 | 通販 | Amazon