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読書感想:俺は星間国家の悪徳領主! 2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
気の置けない大切な友人もいる。天城やブライアンを始めとする、頼れる家臣達だっている。何だって持っているように見える、我等が主人公のリアム。だが、彼には唯一持っていないものがあった。それが何か、画面の前の読者の皆様はお分かりになるだろうか。
それは、「ヒロイン」。天城がいるのでは、と言いたくなった方は少し待っていただきたい。この場合のヒロイン、それは「人間」のヒロインである。それもまた、当然の事であるのかもしれない。何故ならばリアムはれっきとした貴族であり、跡継ぎ問題はいずれ立ち塞がってくる問題だからである。
そして、曲がりなりにもリアムは「悪徳領主」を志す者である。なれば女はただ手に入れるのではなく、全てをへし折り屈服させて手に入れたい。そんな彼のお眼鏡に適った少女が一人。女系公爵家の娘、ロゼッタ(表紙右下)である。
始まった幼年学校での生活。いきなり序列が大分下の皇族男子、ウォーレスのパトロンになったり、クルトやエイラ達と前と変わらぬ学生生活を送ったり。
その中、汝を屈服させたいとリアムはロゼッタに目を付け、諦めずに邪悪な笑顔を以て接近していく。
が、ここまで読まれた読者の皆様であればもうお分かりであろう。結果的にリアムは善人であり、彼が望んだ結果はほぼ確実に訪れない事を。
とある事情から帝国内で虐げられ孤立無援、それでも気丈に振る舞うけれど、自分とは違い何でも持っているリアムが羨ましくて、つい口を悪くしてしまったりして。
だが、それでもリアムは側にいてくれた。自分を助けてくれた。
「お前の頑張りは認めるが、もうここまでだ」
そして、誰よりも憧れた、自分にとっての理想像であった彼は、真っ直ぐに自分を見て肯定してくれた。これで惚れぬ女は、いないものと相場は往々にして決まっている。言うなればヒロインの完成である。
では今巻のリアムが行っていたのはそれだけか。否、其れだけに非ず。
「逃げても無駄だ。さて、続きをやろうか。お前らは死ぬ気で俺を楽しませろ!」
幼年学校での行事である、機動騎士同士がぶつかり合うトーナメント。突如多勢を率いてリアムを襲撃してきたのは、学校を支配する上級生であり、海賊行為で成り上がった貴族の家の子、デリック。
普通であれば絶体絶命。だが、彼等は運が悪かった。改修され更なる力を得ていたアヴィドと、はしゃぎ回るリアムの組み合わせに勝てる訳なんてないのだから。
石化されていた者達の一人、凄腕騎士のマリー(表紙左上)、闇の一族を始めとする新たな仲間達。 そして、ウォーレスやロゼッタを始めとする新しい友人達。
更に力をつけ、また勘違いを重ねどうしてこうなった、と首をかしげながらも心のままに。世界が奥行きを増す中、益々リアムの活躍が光る今巻。
前巻まで読まれた読者様、やはりSFファンタジーが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
俺は星間国家の悪徳領主!③ (オーバーラップ文庫) | 三嶋与夢, 高峰ナダレ |本 | 通販 | Amazon