読書感想:俺は星間国家の悪徳領主! (6)

 

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読書感想:俺は星間国家の悪徳領主! (5) - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、外伝作品ではリアムに憧れる落ちこぼれ騎士、エマが問題だらけの新型機を狩り戦場を駆け抜けていた訳であるが、こちらの本編の方の我らが主人公、リアムはそんな泥臭い事にはならぬ、というのは画面の前の読者の皆様はもうお分かりであろう。彼自身がこうか、と思うような悪徳領主ムーヴをしながら今日も元気に突き進んでいる訳であるが、そんなムーヴを続けていればどうなるか、というのはお分かりであろう。

 

 

前巻、皇位継承争いに母親にも見捨てられた第三皇子、クレオを支援すると言う形で関わる事になり、あっという間に第二皇子、ライナスを下し。彼という駒が盤面に投入された事で、クレオに対する注目が否が応でも高まり。残された第一皇子であるカルヴァンにとっても、あっという間に好敵手となる事は明白であり。カルヴァンは、リアムを排除するために、新たな一手を仕掛けてくるのである。

 

「面白くなってきたな」

 

 それは、今回は方針転換し、リアムを支援すると言う方向に舵を切った案内人の手引きもあり、彼にとっては中々に難局たるもの。ライナスと密約を結んでいた連合王国の大軍勢との戦争の矢面に立たされ。更には領地での暴動、身内の裏切り、更には「一閃流」の妹弟子、風華(表紙右)と凛鳳(表紙左)の襲撃という一大事がいっぺんに襲い掛かってきたのだ。

 

が、しかし。画面の前の読者の皆様ならお察しであろう。たかが大軍勢如きがリアム配下の騎士達に叶う道理はあまりなく、そもそも領地においてリアムは名君であるということを。

 

裏切った貴族の家を含む大艦隊は、エリキウスという専用機を得た狂戦士、チェンシーを始めとするリアム配下の狂信者達、もとい騎士達に軽く壊滅させられると言う結果に終わり。

 

領地の暴動、それは理由が微笑ましい物であり、思わずずっこけてしまうようなものに終わり。

 

「いいことを教えてやる。―――俺はお前らよりも強い」

 

更には、いくら妹弟子達が強いと言えど、リアムという特異点の前には大した脅威でもなく。二人纏めてぶった切られ、共にリアムが面倒を見ると言う結果に落ち着くのであった。

 

心配する必要はなかったのかもしれない、何故ならリアムは悪徳領主に見せかけた名君であるのだから。様々な方面で愛される彼が、そう簡単に負ける訳はないのである。

 

けれど、もしかすると次の脅威はすぐ側に迫っているのかもしれない。その元凶は、意外な者。考えてみれば当たり前かもしれない。強大すぎる力、というのは往々にして主すらも上回る力となってしまうのだから。

 

テンポよく読める無双に溢れる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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