読書感想:俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた III

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前巻感想はこちら↓

読書感想:俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた II - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品を読まれてきた画面の前の読者の皆様はそろそろこう思われている頃かもしれない。もういい加減にルナン滅ぶべし慈悲は無い、と。そんな読者の皆様はどうか安心していただきたい。スッキリされるかは分からないが、今巻でやっとこさルナンは滅亡の時を迎えるので。

 

 

好き勝手に振る舞い、成果は取り上げられ、与えられるのは保養地のような領地だけ。御恩と奉公の関係から見るならば、全く成り立っていない上下関係。しかしそんな状況こそがエルヒンの望む状況であった、というのは前巻の感想で画面の前の読者の皆様にお話したであろう。

 

 戦争するならば必要なのは何か。勿論人員も必要であり補給も、戦費も必要である。しかし、かなり大きな要素を占めるのは「武器」と言っても良いだろう。相手より上質な武器を多く持っておくのもまた重要な要素だからである。

 

王都の貴族に暗殺者を差し向けられるも退け、人心を掌握するために奴隷商を討伐したり、更には新たな領地に住んでいた山の民と出会い、何故かユラシアと共に崇拝され味方につけたり。

 

 来るべき時を待ち、着々と準備を整えていくエルヒン。しかし、衝突の時を待つのは彼だけに非ず。前回の戦争で彼に敗れ、リベンジの時を伺う天才軍師、フラン(表紙奥)もまた準備を整え、その時を待っている。

 

敢えて自身で直接潜入し、自身の目で見つめるエルヒンの統治の巧みさと、率いられる人々がいかに精強であるかという事実。すぐそばまで迫っている、新たな激突の時。

 

 それこそが全ての始まり、ルナン滅亡の時。エルヒンの戦いが本当の意味で始まる合図。ロゼルンへと朝貢の取り立てへ向かうエルヒンの留守を狙い、ナルヤ軍の大侵攻が幕を開ける。

 

しかし、それこそはエルヒンの狙い。不様にも逃げ出しあっけなく最期を迎えた王。何の役にも立たなかった彼の死は、「仇討ち」という大義名分を彼へと与え、反撃作戦は幕を開ける。

 

だが、ご存じの通り彼は本当は今、既に死んでいる筈の身。故に彼の知らぬ行動をとる者達が発生し、戦いは予想できぬ方向へと踏み込んでいく。

 

その中、味方を纏め上げ最後まで戦おうとしていた将軍達を救い。城を捨て敵を引き込み、自身の目的の場所まで敵を誘導する。

 

「計画通り、エイントリアンで決着をつける!」

 

だが、その戦いは当然の事ながら簡単にはいかぬ。敵として来るはナルヤ最強の武将、メデリアン(表紙前)を始めとする実力者たち。

 

欠損は避けられず、多くの部下達を失い。それでも戦いは続く、まだ止まれない。

 

本当の意味での戦争が始まり、群像劇的要素が更に高まる今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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