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読書感想:俺は星間国家の悪徳領主! (3) - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で「人間」のヒロインであるロゼッタを手に入れ、正に彼の周りは理想郷、最早何も足りぬものなしと言わんばかりに勢いに乗る我等が主人公、リアム。だがそんな彼を面白く思わない者がいるという事は画面の前の読者の皆様の中でこの作品を読まれてきた読者様であればもうご存じであろう。そう、「案内人」である。
絶望こそが彼の糧、しかし肝心のリアムは何故か絶望せず、それどころか自分にとっては毒となる感謝の感情を真っ直ぐに向けてくる。いい加減にこの状況を打開しなくてはならぬ。そう言わんばかりに、手塩に育てたリアムへ恨みを抱く者達を包囲網的に並べ、案内人の魔の手が迫る。
しかし、そんな事は露知らぬリアムは、一人前の貴族として認められるべく、ロゼッタを行儀見習いとして一時引き離し、軍の士官学校へと入学していた。もう画面の前の読者の皆様はお分かりであろう、この後の展開は。
悪徳領主を気取り、今度は悪徳軍人を気取ろうとしても、結局彼は善人であり、小市民。だからこそ彼の行いは、何故かいい方向へと突き進んでしまう。
不正な方法で成績上位を独占していた貴族の子弟を叩き潰し、結果的に士官学校内部に新しい風を吹き込み。
補給部署に研修で行けばみみっちい悪人に遭遇し、貴族としての圧倒的な力で腐敗軍人を叩きだし。
卒業後の自身の配属先を用意しようとパトロール艦隊を手に入れれば、ティアやマリーの策略もあり艦隊を掌握し、海賊貴族よりも名君の方がいいと艦隊のクルーたちを心酔させ、結果として大艦隊を手に入れる。
そんな、風が吹けば桶屋が儲かると言わんばかりに悪行と反対の善行を積み上げ心酔を得るリアムに、バークリー家などという海賊貴族が勝てる訳があるのだろうか。否、そんな理屈は何処にも存在しない。
「浪漫ですよ」
決戦の戦場、仮初の命を得た戦艦が姿を変えたロボットに立ち向かうのは誰か。無論、我等が主人公であるリアムである。彼と、彼の乗るアヴィドが接続され操る浪漫の塊。絶対に無駄だけど作らずにはいられない、浪漫な兵器であり巨大な鉄の巨人である。
やっぱりご都合主義だけど、それが約束された笑いを生み出し面白さとなる。そういう独特の面白さが、また一つ高まる今巻。
前巻を楽しまれた読者様、やはりシリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
俺は星間国家の悪徳領主! 4 (オーバーラップ文庫) | 三嶋与夢, 高峰ナダレ |本 | 通販 | Amazon