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読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様(久しぶりの前説)。誠に申し訳ないが、この作品の今巻の結末を見た私から、ネタバレ込々で気持ちを迸らせる事をお許しいただきたい。
二人とも、本当におめでとう。ここまで来るのに回り道もじれったさもあったけれど、やっとここまで辿り着けた二人に祝福を。
もうお分かりであろう、つまりはそういう事である。ここまで散々じらされてきたけれど、やっと我等が主人公の周が覚悟を決め、一歩を踏み出すのである。
どこか遠慮していた、自分では届かないと思っていた。けれど真昼の気持ちはなんとなくわかっている。距離を取ろうとしていても、身勝手な独占欲が心を焦がす。
「・・・・・・まだまだなんだよなあ」
けれど、容姿端麗、頭脳明晰。何もかも持っている彼女にはまだ遠くて。だからこそ変わる。彼女の隣に立っていても、誰にも文句を言われないように。身体を鍛える事を始めたり、必死に勉学に打ち込んだり。今まで立ち止まっていた分を取り戻そうとするかのように、必死に周はもがき始める。
「・・・・・・周くんってやっぱり可愛いですよね」
「周くんこそ、そういう可愛いところを人に見せちゃ駄目です」
そんな彼の努力を真昼は優しく見守り、時に包み込み、自身も独占欲を見せる。貴方の良い所も可愛い所も分かっている。だからその顔は自分だけに見せてほしいと。
「あなたの言葉を訂正させていただきますけど、周くんはかっこいいですし優しい人ですよ。物静かで温かい雰囲気も素敵だと思っています。それに彼はすごく紳士的ですし、私を尊重してくれる素敵な人です。私が苦しい時は側で支えてくれる、思いやり深い人です。少なくとも、誰かの悪口を言ったり人の恋路を邪魔するような人ではありません」
結果の一つの結実となる体育祭。周を貶した当て馬男子生徒に真昼は穏やかなままに鋭い言葉の刃を繰り出し完膚なきまでにその心をへし折る。彼は貴方よりも何倍も素敵な人だ、貶す事は許さない、と。
「真昼の事が、誰よりも好きだよ。・・・・・・俺と、付き合ってくれるか?」
「これは俺の願望。俺が俺の手で幸せにしたいって願いだから。決意で言うなら・・・・・・大切にするし幸せにするよ、絶対に」
そして、体育祭の後、いつもの二人きりの家。そこで待っているのは柔らかな風が見守る愛の告白。絶対に幸せにする、という決意を込めた愛の告白。
自分は彼女に変えられた、だからこそ決意した。真昼の事を絶対に幸せにすると。
ここに結ばれるは「恋」、否、「愛」の誓い。今まで丁寧に積み上げ重ねてきたからこそ辿り着けた二人だけの恋の形。まるで雪だるまのように、二人で一緒に溶けあうように一つとなりながら進んでいく、何処までも貴方と共にというかのように。
ようやっと辿り着いた、ここまで。けれどここからは本当の始まり。只の隣人から恋人同士へ。この先も二人のお話は綴られる、故にこそこの作品の甘さと面白さはここからが本番なのである。
前巻を楽しまれた読者様、このシリーズのファンの読者様。是非ここまで一気に読んでみてほしい。
万感の思い溢れる、正に尊いという他ない面白さを楽しめる筈である。
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