読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件9

 

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読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件8.5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、もはやお互いがいないとダメ、お互い限定のダメ人間、というちょっと不思議でだけど尊い関係性になっている周と真昼の関係性であるが。最早二人の距離感は初体験済み、と言われても知らぬ方であれば誤魔化せない具合にはなっているが、まだ二人は清い交際である、というのはさておき。これまで真昼との付き合いを通じ、周もまた成長し真昼の事を支えられる貫禄が出てきたわけであるが、今巻ではその辺りに焦点を当てていく巻である。

 

 

 

「真昼にとって、その日が特別じゃない、っていう事は、分かるんだ」

 

前巻、周の誕生日を真昼が祝ってくれて、彼女のお陰で沢山の変化が生まれた事を改めて実感し、今度巡ってくるのは真昼の誕生日。彼女の生い立ち的に、彼女からすれば只の年齢が上がる区切りの日、でしかないとは分かっているも、それでも祝いたいと願って。予め真昼に許可を取った上で、周は自分にしか出来ない事を模索していく。

 

「つまり私がついていく余地があると」

 

そんな中巡ってくるのは三者面談、そして進路のお話。志保子が周の保護者としてやってくる中、真昼は親に伝えてすらおらず二者面談となり。それを聞いた志保子が自分達の娘のようなものだし、と真面目に保護者として出ることを検討してしまったり。

 

「もういっそ一緒に住んだ方が楽まであるよな」

 

更に検討する進路、同じ大学。しかし今の街からでは通学に時間がかかるので引っ越しを模索する中、自然と同じ家で同棲する事が選択肢に入って。少しずつ未来を見据えながら、やってくる未来を模索して。

 

そんな一幕がありつつも、周が計画するのは手作りの誕生日。皆の力を借りて、準備して。バイト先で作り方を教えてもらって、ケーキも準備して。

 

『サプライズ成功かしら。ふふ』

 

そして、周が準備していたサプライズ。それは、真昼にとって大切な相手。ある意味母親のようなものと言える小雪。彼女の連絡先を偶々知った周は何とか連絡を取り、メッセージを依頼し。画面越しに真昼と小雪は久しぶりの再会を果たす。

 

「だから、心配しないでください。俺が、真昼を幸せにします。二人で、幸せになります」

 

そして小雪に宣言するのは、未来への約束。自分が幸せにする、二人で幸せになって未来に進んでいく、という家族になろうよという宣言。 親、ではないけれど届けるのなら彼女に届けるべきだろう。そう考えて届けて、また一歩幸せに踏み込んでいくのである。

 

より幸せ、より幸福。踏み出す一歩が止まらぬ今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。