読書感想:白百合さんかく語りき。

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世の中にはカップリングという言葉がある。それは時に戦争の火種にもなり得る危険な言葉であるらしい。誰と誰を掛け合わせると一番面白いか。それを妄想したりするのは創作の上で一つ、大切であるのかもしれない。さて、そんな前振りは一時置いといて画面の前の読者の皆様はこれだけは譲れないカップリングというものはあられるであろうか。 このカップリングだけは誰に何と言われようとも譲れないものはあられるだろうか。

 

とある高校に通う、自他共に認めるコミュ障な陰キャラ、永遠(表紙右)。フランス出身、校内の恋愛相談を一手に引き受ける陽キャラ代表のような少女、リリ(表紙左)。

 

一見すると何の共通点もなく、何の接点もないように見える二人。だがしかし、この二人には只一つ、共通している趣味があった。それは、「カプ厨」であるという事。それぞれ譲れぬカップリングを持ち、何処か感性も似ていて。そんな二人が出会い、仲良くなるのもまた必然であったのかもしれない。

 

「さぁ今日は何をテーマに話しましょうか」

 

「では今日は予想外の恋について話しましょうか」

 

「メルベイユー! 素敵です!」

 

ある時はお昼、二人きりで。またある時は放課後、何でもない時間の中で。

 

ある時は猫と人の異種族の恋愛。またある時は、ガサツな女の子とモテる男の子という正反対な二人の恋愛。更にある時は、女子と女子。様々なカップリングについて語り合い、お互いの尊いという思いを交換し合う二人。

 

だがしかし。リリには永遠に秘密にしているある思いがあった。それは、永遠の事が一人の女性として好きだと言う事。

 

だけどその思いは、まだ永遠には届かなくて。マイペースに我が道を往く永遠にいつも振り回されて。

 

リリが振り回しているように見えて、実際は永遠もまた振り回している。

 

そんな素敵な関係を見守る、永遠の幼馴染である藍。二人の後輩であり、同じようにカプ厨である加奈。

 

愉快な仲間達と共に繰り広げる、放課後を中心とする日常はどこか刺激と愉快に満ちていて、ふとした瞬間に尊さが溢れる時も持っていて。

 

この作品で繰り広げられているのは、言ってしまえば何でもない日常である。特に特別な事も起きない、普通の女子高生の日常を描いたものである。

 

でも、だからこそ。その日常の中に溢れる何でもないからこその尊さが面白く、時に過剰とも言えるかもしれないめくるめく妄想の世界が、一種の生々しさを出しながらも等身大のらしさを醸し出しているのである。

 

何でもない日常のコメディが好きな読者様、可愛くて尊いガルコメが好きな読者様にはお勧めしたい。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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