読書感想:お酒と先輩彼女との甘々同居ラブコメは二十歳になってから2

 

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読書感想:お酒と先輩彼女との甘々同居ラブコメは二十歳になってから1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、孝志と紅葉。一見すると紅葉が振り回して主導権を握っているように見えて、実は紅葉の方が孝志の優しさに大分寄りかかって依存している、とも見えるこの関係性であるが。確かに二人とも、何があっても最悪責任はとれる年齢ではあるも、親の庇護の元にいる以上、心に任せて関係を進める訳にもいかぬ。そのストッパーがあるからこそ、中々にこの二人の関係は最後の一線としてもどかしい関係、と言えるのかもしれない。

 

 

「楽しみだね、孝志くん」

 

「ですね」

 

しかしまぁ、今は二人の姿は大学を離れ伊豆、にある訳で。まるで衝動的に逃げ出すように伊豆へと旅行を提案した紅葉の提案に乗り、孝志もまた周囲には言わずにともに伊豆へ。暫し周囲の喧騒を忘れ、煩わしい柵も忘れ。二人の非日常の時間が幕を開けるのである。

 

「じゃあ、どっちも幸せだね!」

 

「私も好き。ずっとずっと、好きよ」

 

パワースポットに興味のある紅葉、という一面を見たり。二人でお昼寝したり。旅館に行けば、二人で料理をつついたり。意図せずして紅葉を押し倒して変な空気になってしまったり。 孝志にならスマホの中身を見られてもいい、という彼女に心が揺れたり。そこは正に、誰にも邪魔されぬ非日常。そんな夢のような時間の中で、紅葉は何も言わずついてきてくれて、自分の事を助けてくれる孝志へとどんどん思いを深めていって。孝志もまた、自分を振り回しながらも優しく包んでくれる紅葉への思いを深めていく。

 

だけど、その中で。孝志の中、一つの思いが膨らんでいく。父親に対し、まだどこか躊躇うような思いを見せる紅葉を見て、彼女に父親と仲直りして欲しい、と。 だからこそ、と一計を案じて。紅葉のスマホを操作し、父親への連絡を取り付け。旅行帰り、現実に戻った時に二人は再び邂逅する。

 

その中で紅葉が知るのは、父親の素顔。不器用ながらにも彼女の事を愛し、彼女の事を尊重しながらも守ろうとしてくれていた本心。ようやく蟠りを解き、仲直りをする事が出来て。孝志もまた覚悟を示して、父親から一定の認めを引き出す事には成功する。

 

「お母さんもお父さんも認めた、とってもすごい人よ」

 

だけど、紅葉側の柵は解けれど、まだ乗り越えるべき壁はすぐそこに。それは孝志の周り、残された思い。その思いにどんな形であれ、決着を付けなければ本当の意味では進めないのである。

 

より甘さをノンストップで深めていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

お酒と先輩彼女との甘々同居ラブコメは二十歳になってから 2 (HJ文庫 こ 07-01-02) | こばやJ, ものと |本 | 通販 | Amazon