読書感想:僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方には例え誰に何と言われても、絶対にあきらめたくないという夢はあられるだろうか。絶対に辿り着きたい場所がある、その為ならどんな困難な道も突き進んでいく覚悟はあられるだろうか。

 

さて、著者である赤城大空先生と言えば下セカこと、下ネタという概念が存在しない退屈な世界を始めとした限界ギリギリどころか限界をぶっちぎりでアウトの方向に飛び越えていく下ネタとお色気塗れの作品で有名であるが、時折何か血迷ったかのように二度めの夏、二度と会えない君などのように感動的な作品を創り出されたりする、言わば作品ごとにまるで別人か多重人格者かと言わんばかりの違う味を醸し出してこられる作者様である。では、この作品は一体どういう方向なのか。

 

 

だが覚悟せずとも良い。寧ろ警戒してこの作品の頁を開いた貴方は驚天動地で面食らってしまうかもしれない。何故なら、この作品は何処までも真っ直ぐに王道で魅力的だからである。

 

後書きで語られている通り、某ダンまちな香りのするファンタジーな世界。その世界には三人の最強の冒険者の妙齢の女性達がいた。

 

最強の剣士、リオーネ(表紙右上)。最強の魔術師、リュドミラ(表紙手前)。最強の聖職者、テロメア(表紙左)。最強の名をほしいままにする彼女達にも唯一手に入らないものがあった。それは大切な伴侶となる者、即ち男である。

 

そんな男日照りな彼女達は思いついてしまった。理想の男がいないのならば、自分で育ててしまえばよい、と。

 

そんな彼女達の生贄もとい育成対象として選ばれたのは、冒険者に憧れるも何の才もない少年、クロス(表紙中央)。

 

彼には全く才が無い。それはもうびっくりするほどに才が無い。しかし彼は大切なものを既に持っていた。それは何か。それは諸人を引き寄せる類まれなる優しさと、一歩踏み出すきっかけとなる小さな勇気である。

 

例え自らに害を為そうとした者が相手でも、今目の前で傷つくのを見逃したくないから、強大な魔物の前にも立ち塞がれる。

 

(振り絞れ! 研ぎ澄ませろ! あの人たちからもらったすべてをいまここで! 全力で体現しろ!)

 

そしてどんな敵にもひるまぬ勇気と、憧れが生み出した彼だけのスキルが合わさった時、大物食いの一撃は唐突に生まれ出る。

 

この作品は、大きな憧れを抱いた少年が最強の師匠たちに追いつくために勇気のままに駆けていく物語であり、そして最強の師匠たちが互いに出し抜こうとし合いながらも、クロスという少年を愛して慈しみ、彼女達なりの愛し方で育て上げていく物語である。

 

王道ファンタジーが好きな読者様、大物食いが好きな読者様は是非。赤城大空先生の作品にこれから入っていきたいという読者様も是非。きっと満足できるはずである。

 

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