読書感想:最強不敗の神剣使い1 王立学院入学編

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問:喋る剣と言えば?

 

答:デルフリンガ―(世代が古めの真白優樹である)

 

さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。昨今のファンタジーの流行と言えば追放ものである、と言っても過言ではないのだろうかと突然だが私は言ってみたい。事実、ハイファンタジーの世界を舞台に、追放から始まる作品も最近増えてきているのは、画面の前の読者の皆様もご存じであろう。

 

 ではそんな追放の憂き目にあう主人公は、どんな理由で追放されるのか。理由の一つとして多いのは恐らく無能の落胤を押される事であろう。しかし、その落胤は様々な理由で間違いで在り、主人公は実は最強クラスの力を秘めていると言うのはよくありがちな事である筈である。

 

この作品の主人公、リヒト(表紙右)もまた、生家である名門貴族の家から追放された少年である。彼が追放された理由は只一つ、彼が当主の落胤であり「忌み子」であるという事。

 

 だがしかし、彼は「忌み子」であっても「無能」ではなかった。その身には今まで磨き上げてきた天賦の剣術の才と、周囲を軽く圧倒するほどの魔法の力があったのである。

 

家を追放され、義妹がこっそり持たせてきた喋る神剣、テイルウィングと共に冒険者となるべく旅を始めるリヒト。

 

 その旅の途上、彼はメイドを護衛として引き連れる旅の少女と出会う。彼女の名はアリアローゼ(表紙左)。その身にどの属性にも属さぬ「無」の属性の魔法を備えた、周囲から忌み嫌われながらも理想を追い求める王女である。

 

「はい。わたくしは女王になる。女王になってこの世界を変えたいのです」

 

持つ力は無力、それどころか権謀術数渦巻く魔界と化した王宮で戦うには似つかわしくない優しさを捨てきれず。それでも、優しさを捨てもせず全てを救いたいと必死にもがくアリアローゼ。

 

「アリアローゼ様―――。・・・・・・俺は自分の中の聖母様を見つけたのかもしれない」

 

その優しき理想は、リヒトの心の中に差し込む光となり。彼女の理想に感化され、リヒトは彼女の騎士となり、彼女を護衛するために王立学院へと共に入学する。

 

 

入学試験で妨害を仕掛けてくる刺客達を圧倒的な力で叩き潰し。貴族に決闘を挑まれたかと思えば規格外の力を見せつけ退け。

 

始まるのは、何処か世間知らずの危なっかしさが招く、隠し切れない実力が導く動乱の日々。陰謀渦巻く学院の中、自然と台風の目となり全てを見返していくリヒト達。

 

 

だが、彼は最強では決してない。剣技はあれど、身に着けた神剣は未だ本調子とは遠い只の名剣。対し、襲い来る刺客が使いこなすは特殊な力を秘めた魔剣。

 

その戦いの中目覚める、アリアローゼに秘められた「無」という力の本質。善でも悪でもない、無だからこそ使える力がある。

 

「おまえは人間の命を侮辱し、姫様の名を辱めた。生きる価値がない」

 

その力が目覚める時、リヒトに理外の力が齎され。無故の境地が悪を討つ力となる。

 

王道だからこそ熱く、決して最強ではなく傷つきながらも進むからこそ面白い、この作品はそんな作品である。

 

王道ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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