さて、私はあまり官能小説的な方向の小説にあまり見識が深くないのであるが、画面の前の読者の皆様に一つ、お聞きしてみたい。主人公とヒロインに一線を越えてもらう、その為にちょうどいい起爆剤は? と聞かれて画面の前の読者の皆様はどんな要素を連想されるであろうか。官能小説を読まれる読者の皆様は、どんな官能小説だからこその要素を連想されるであろうか。
さて、今回の作品の感想について先に予告させていただくが、この作品はノクターンノベルズ、つまりはR18版小説家になろうが原作であるため、がっつり性行為に関するあれこれが出てくる。なので性的な要素が苦手、という方はそっとブラウザバックしていただきたい。
ではこの作品は一体どんな作品であるのかと言うと。剣と恋のエロティックファンタジーと題している通り、官能的な中、王道なファンタジーで綴られる作品なのである。
魔物や冒険者が存在する、王道的なとある異世界。その片隅の王国に所属する少年、リュノア(表紙右)。彼の役職は最強の呼び声高いSランク冒険者であり、「二代目剣聖」と称されるほどの実力者。王都近くの街をホームとし様々な依頼をこなしながら過ごす彼は王都を歩く中。ふと一歳年上の幼馴染の少女、アイネ(表紙左)の事を思い返していた。
王国とは別の、実力主義の帝国で騎士となった彼女といつか手合わせしたいと願う彼。だが、再会は唐突に、まるで運命的に、だがある意味悲劇的に。偶々近くを通った奴隷商の馬車にアイネが商品として載せられていたのである。
「僕が、彼女を買い取る」
見つけた以上、無論放置するわけにもいかず。半ば強引に彼女を身請けし、連れて帰るリュノア。
ひとまず情緒がぐちょぐちょな彼女を宥め、彼女が話す彼女の事情。権力闘争が激化する中に巻き込まれ、冤罪を着せられ奴隷に墜とされたという事。
更には彼女が着けられた奴隷の首輪もまた、更なる面倒な代物であった。その名は「性属の首輪」。装着された者を、対象者の意思にかかわらず一日一回発情させてしまうと言う厄介に過ぎる代物だったのである。
故に、ここから始まる、リュノアの戦いが。アイネの首輪を外す方法を求めると共に、自らの意思にかかわらず発情させられる彼女を愛撫により絶頂へ導き発散させる。その敵となるのは誰か。それは、アイネを追い現れた帝国の者達である。
首輪に秘められた何か、首輪を装備できる者を求めていた帝国の者達の魔の手がアイネへと迫る。時にリュノアに因縁をつけてきた冒険者の手を借り、時に直接的に。
が、しかし。何かお忘れではないだろうか。リュノアが最強の冒険者である事を。例え視力を奪われても問題ない程に彼は最強であり。彼女の為に、立ち塞がる敵を一刀のもとに切り伏せていく。
そして、そんな新たな戦いの日々で二人の心は近づいていく。もともと少なからず思い合っていた二人が、再会し、お互いを見つめ合う事で。どんどんと心が近づいていく。
「今の僕は、君を守るためにいる」
だからこそ、一線を越えるのは必然であったのかもしれない。両想いの恋人同士になる事もまた、必然であったのかもしれない。
そんなエロティックな中に王道のラブコメとファンタジーの熱さがあるこの作品。
官能的な作品を読んでみたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
一緒に剣の修行をした幼馴染が奴隷になっていたので、Sランク冒険者の僕は彼女を買って守ることにした (GCN文庫) | 笹塔五郎, 菊田幸一 |本 | 通販 | Amazon