読書感想:ネクラとヒリアが出会う時

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は異性のどの辺りに惚れるタイプであろうか。外見だろうか、それとも内面だろうか。

 

とある学校、そこに所属する学校一の秀才でイケメンと名高い少年、総士。天使の生まれ変わりと名高い学校一の美少女、ゆりあ(表紙)。

 

共に学校の人気者。そんな二人には共通点があった。それは、極度の人見知りであり、それ故に周りに友がおらず一種の孤高と化しているという事である。

 

同族嫌悪であるからなのか、お互いに似た者同士であるのにどこか少しだけお互いが苦手なこの二人。

 

そんな二人がふとした切っ掛けで出会ったのは図書室の本棚越しというお互いの顔が見えない空間。そこから始まっていくのは、お互いの顔が見えないからこその本音のぶつけ合いである。

 

顔が見えない、聞こえるのは声だけ。だけどだからこそ見える気持ちがある。今まで苦手だった人の、本当の心が見えてくる。そこにあるのは自分とは反りが合わないと思っていた相手の、自分とは何も変わらぬ本当の心。

 

メールのアドレスを交換したり何でもない事を話し合ったり。何でもない緩やかな、だからこそ貴重な時間を過ごし縮まっていく二人の距離。

 

だからこそ、今まで話していた相手の正体を知った時、二人の心には荒波が立ち、混乱へと叩き込まれる。

 

苦手な相手だと思っていた。だけど本音をぶつけ合い知った本心に惹かれていた。

 

だからこそ、同じ道をもう一度一歩ずつ。今度は本当の意味でお互いを知る為に。

 

知り合いすれ違い、また知り合って本当の意味で恋人になって。

 

だからこそ、気付けるのだ。自分の意識などよりもプライドよりも、本当に大切にしなければいけないものがあるという事を。

 

「嬉しいな」

 

その笑顔が隣にあるのなら、きっと変わっていけるから。大人になっても無くしたくないと思うから。

 

正しくじれったくてもどかしい。だけど瑞々しくて初々しい。これはライトノベルという括りだけではだせない。恋愛小説のエッセンスも含まれているからこそ、見慣れたように見える面白さが何処か違って見えるのだろう。

 

昨今のラブコメ戦国時代、そこへ一石を投じ独自の面白さで殴り込みをかけていくであろうこの作品。

 

甘くて瑞々しくてもどかしくて。じれったくてこそばゆい。使い込まれた面白さもいつもとは違う輝きを加える事でまた違った輝きが見えてくる、そんな事実を教えてほしい読者様。

 

そして、王道ど真ん中の青春物語を読んでみたい読者様。どうか是非読んでみてほしい。きっとあなたも満足できるはずである。

 

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