読書感想:転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でようやく starting now と言わんばかりに始まった隼人と春希のラブコメ。お互いの家族についての秘密を共有し、お互いの家にすぐに行けるように合鍵を渡し。もはや恋人同士というより、家族的なお付き合いと言っても過言ではないかもしれぬこの二人。しかし、もはや言うまでもないかもしれないがこの二人はまだ付き合っていない。まだ、お互いを意識し始めた段階なのである。

 

 

そう、意識し始めである。画面の前の読者の皆様の中でラブコメを嗜まれる読者様であればもうお分かりであろう。一番もどかしくこそばゆい時期であるという事を。そしてそのもどかしさは、お互いが元からどんな関係だったかにもよって異なってくると言っても良い。

 

 それを踏まえて言うのならば、この二人は一番もどかしい部類に入ると言っていいだろう。何せ二人は「親友」であり「相棒」、最初からもっとも近い位置にいたのだから。

 

しかし、意識し始めてしまったのならばもう止まれない。一度見てしまったものはもう忘れられぬ。

 

幼き頃の親友、「はるき」としての春希の中に女の子としての「春希」の影を目撃し、己の思いに戸惑い揺れる隼人。重ならぬ影は彼の心を大いに揺らす。

 

しかし、それは春希も同じ。親友としての彼に、確かな男の子を、自分とは全く違う生き物であるという事に気付き。更には月野瀬に唯一残った幼馴染、沙紀もまた隼人に恋をしているという事を知ってしまい。恋心と友情の狭間、揺れ惑う春希。

 

「迷惑なんていくらでもかけてくれてもいい。だけど、心配だけはさせないでくれ」

 

だけど、彼の素直な心と、自分を真っ直ぐに見てくれて大切にしてくれる愛情は春希の心に確かに届く。その心にどんどんと惹かれていく、自分も返したいと思っていく。恋と愛情を重ねたいと、どんどんと願ってしまう。もどかしい中、更に愛を重ね。瑞々しくも甘酸っぱく、更にもどかしくこそばゆい関係となっていく。

 

そんな二人の周り、友人達もまたそれぞれの想いを巡らせる。一輝の元カノが新たに現れ、春希の正体を知ると思しき謎の男性が波紋を投げかけようとする。

 

それは、群像劇への飛躍の合図か。しかし、その中心で、世界と世界の真ん中で。隼人と春希のもどかしい恋は、更に円熟の時を迎えていくのである。

 

更に面白さ深まり、ラブコメとして一段階上へと踏み込んでいく今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。