突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は主人公が最強、という作品を好まれるであろうか。好きな方は是非こちらの作品を読んでみてもらいたい。
さて、この作品は最強転生×魔術学園×姉妹ラブコメと銘打たれ大体的に宣伝されている、MF文庫から満を持して送り出された巨編と言える作品である。ではこの作品は一体どういう作品なのか。
まず初めに、この作品の作者である月夜涙先生は小説家になろう出身の作家の先生である。ではどんな作品を書かれているのであろうか。
上記に掲載した二作品が現状では一番有名な方の作品となるのであろうか。この二作品から分かる通り、月夜先生は最強の主人公を書くのがとても上手な作家様である。ではこの作品は果たしてどうなのか。
主人公であるユウマ（表紙中央）は魔術師と脅威が存在する地球から転生してきた最強の魔術師である。しかし彼は魔術の実力という面においては真っ当な最強ではない。何故なら彼には魔力がそこまで宿っていないから。しかしその分を驚異的な頭脳と知識でカバーし、力が足りない分をあらゆる手札を尽くして補い、万能めいた戦い方であらゆる敵を叩き潰す、暗殺貴族のルーグに似たタイプの魔術師であるといえる。実際にクールなように見えて、実際の心には熱さを秘めているという点においては彼と似通っているといえよう。
そんな彼が転生してきたのは魔術が形態的に存在する異世界である。しかしこの世界は、終わりを告げようとしている世界である。
あと五年、それが世界が滅ぶまでの残り時間。
魔族と争い合う中、魔族と心の中で間借りしたユウマが知ったのは天使と魔族が本質的には同じものであるという事、そして魔族がこの世界に貢献しているという衝撃の真実。しかし、その事実は我々読者にも明かされることはない。
ここまでの流れを総じて言うなれば、この作品は確かに月夜先生の色が強く出ている最強の主人公による熱さが見所であり、書下ろしと一からレーベルと共に作り上げたという事もあり、MF文庫としての色も強く出ている作品である。
では姉妹ラブコメ、この部分についてはどうだろうか。
この作品のヒロインは二人、イノリ（表紙左）とファル（表紙右）である。
イノリはかつて「破壊天使」と呼ばれたユウマの義姉である。そんな彼女が何故ここにいるのか。それはユウマと出会う為に天使へと転生しずっとユウマを探し、世界の垣根も道理も飛び越えて彼に会う為にやってきて契約したからである。
そんな彼女はかつての世界からのユウマの想い人である。そして彼女もユウマの事が大好きなのである。
「やっと会えたよ、ユウマちゃん」
だからこそ二人の絆はこの世界でも強く、そして息がぴったりの相棒として共に戦えるのである。
そしてそんな二人を少し遠巻きに見つめるのがこの世界でのユウマの義妹、ファルである。彼女は特殊な経緯でユウマと出会い妹となった、最強の魔力にユウマ譲りの技術を身に着けたいわゆるハイブリッド型の最強である。そんな彼女もまたユウマが大好きである。しかし、彼が別の誰かを見ているのは知っている。だからこそ、とまるで時間をかけて絡めとるようにじわじわと攻め、虎視眈々と機会を狙う、まるでしなやかな狩人のように。
その二人に囲まれ、好きになったこの世界を守るべくユウマはいつものように無茶を通す。
総じて言えば、確かな筆力に裏打ちされた最強の面白さがある作品である。皆様も是非読んでみていただきたい。この作品はまだ始まったばかりなので。
