読書感想:神殺しの魔王、最弱種族に転生し史上最強になる

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はもし、自分の行動が誰かによって決められ、その命令に逆らえないとしたらどうするだろうか。自分にとって絶対に逆らえない相手というのがいたら、貴方ならどうするであろうか。

 

例えば魔族にとっての魔神のように、絶対に殺せずその命令にも逆らえぬ相手というものが存在する、とある異世界。物語の始まる五百年ほど前、勇敢にも魔神に逆らい、逆境を跳ね除けほぼ相討ちにまで持ち込んだ一人の魔族がいた。

 

その名はハイラム。最強の魔王と謳われた魔族であり、死に際に仕掛けていた転生の魔術により、人族の姿(表紙中央)へと転生を遂げた王である。

 

何故勝手知ったる魔族ではなく、種族的にも最弱と呼ばれる人族へと、術式を無理やりにでも歪めてまで転生したのか?

 

それは、人族とは最弱である代わりに何の神にも縛られぬ、誰よりも自由な種族であるから。そして大器晩成であるだけで、強くなれる可能性は無限に秘めているからである。

 

そんな誰よりも自由な身体へと、前世の力をそのまま持ち越し転生したらどうなるのか? もう答えはお分かりであろう。末恐ろしい、神すらも叩き潰す無双の始まりである。

 

目覚めてすぐ、かつての友であり臣下であった古代竜、ヨルムンガンドの息子であるヨルムに襲われたかと思えば、目覚めたばかりにも関わらず圧倒的な力で逆に叩き伏せお供につけ。

 

その途上で出会ったエルフ族の姫騎士、リュミエル(表紙左)と仲良くなったかと思えば、彼女に絡みつく因縁へと巻き込まれ。

 

更にその中、エルフ族の中の重鎮と手を組んでいた魔族の襲撃を受けたかと思えば、改造され魔へとその姿を堕としていたかつての養女、フィルフィ(表紙右)と望まぬ哀しき再会となってしまい。

 

「それじゃ、神殺しを始めようか」

 

だが、そんなハードな展開の連続の中でもハイラムは不敵に笑い、どんな敵にも正面から挑みかかり。

 

「我がハイラムだからだ」

 

魔族最強の一角の攻撃すら余裕をもって防ぎきり、かつての魔王の口調で死を宣告する。

 

何故、そこまで戦えるのか。それは彼が人族に転生しても尚王の器の持ち主であり、気高く熱いその心を全く忘れていないからである。

 

そんな格好いい王様だからこそ、格好良さという面白さの輝きを存分に出せるのかもしれない。

 

全体的に言えば、王道的な無双の物語であり、最強の主人公が時に人間的にぽんこつな一面を見せたりしながら敵を殲滅していくこの作品。

 

格好いい主人公が好きな読者様、王道の無双な物語が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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