隣の席、それは一瞬しかない時間の中での限られた距離。
隣の席になったのは学内でも有数の美少女にして隣の席になった男子を悉く惚れさせてきた少女、唯季(表紙)。また今度の席替えでも一人、彼女に惚れる男子が出る筈だった。
だがしかしその流れを無意識のうちにぶった切ってしまったのがこの物語の主人公、悠己である。
何処か達観したマイペースさと鈍感な上にあるんだかないんだか分からぬ推理力から繰り出される推理に振り回され、ペースを崩される唯季。
これで済めばそこで物語は終わりかもしれない。だがしかし忘れないでほしい、この作品はラブコメである事を。
頭をなでる、心配する、抱きしめる。不意にするっと不可侵の距離を越えて繰り出される会心の一撃の数々。
そう、これはまるで飴と鞭のような巧みな無意識の誘導によりヒロインがどんどん化けの皮をはがされぽんこつな一面を晒され、振り回されるうちにどんどん彼のことを気になっていってしまうラブコメなのだ。
気になり過ぎて空回りしたり、今までできていたことが出来なくなってあわあわしたり。
余裕をなくしてぽんこつ晒す、そんな等身大の可愛い女の子がここにいるのである。
ラブコメに直球ど真ん中、返り討ちのスッキリ感。このワードが気になった読者様は是非読んでみてほしい。きっと満足できると私は信じている。