
さて、時に生徒会長というヒロインは、人気であったタイプのヒロインであるが、生徒会長というヒロイン像に付随すべき魅力というのはどこにあるのだろうか。完璧な生徒会長に憧れ、近づくために頑張ると言うのも魅力的である、と言える。しかし今では、実は相当なぽんこつな生徒会長を支え、サポートするうちに恋が芽生えていく、というパターンもあり得る。 どちらもどちら、それぞれ魅力があるのは確かであろう。ではこの作品のヒロイン、撫子(表紙)はどちらなのか、というと。後者なのである。
進学校である私立麗秀高校。一年生にして生徒会長に就任した撫子。そんな彼女を壇上、ではなく客席という下から、幼馴染みである愛梨澄と共に見守っていたのがこの作品の主人公、貴樹。中学生時代は生徒会長、しかし今はやる気も無し。致命的な目つきの悪さから不良と勘違いされ、入学早々骨折して離脱していた時期もあり、現在は落ちこぼれの彼。
「今のところは書記ですかね~」
そんな彼はある日、担任であり生徒会の顧問でもある佐敷先生から呼び出され。このままだと留年の危機、と言われてしまいそれを乗り切るために、強制的に生徒会に所属する事となり。愛梨澄もついてきて、武闘派な先輩である美鈴も加わり。生徒会の定員である四人が揃い、生徒会は発足する。
「はっ! 私、寝てました!?」
やるべきことは様々、今年から設置された目安箱への対応も含めて。凛として先頭に立つ撫子。だが、貴樹は程なくして彼女の本当の素顔を知ることになる。外面は完璧、だけどそれは、だけ。外面、だけは完璧な彼女の素顔は重度のポンコツ、ぼっち気質。 書類を作ろうとすれば間違えて全消しして寝落ちしてしまうような、ダメダメ。
「私は、完璧じゃないとダメなんです」
「俺に十神のことを、助けさせてくれないか」
だけどそれでも、完璧を求める。まるで自分に呪詛をかけるように。頑張っても無駄、そんな虚無を知っている貴樹、諦めず頑張り続ける撫子。 助けさせて欲しい、という言葉は素直に出てきて。撫子の完璧を演出するサポートをする事になっていく。
目安箱に持ち込まれた恋愛相談、で何故かエロな空気になったり。体育倉庫を見に行けば撫子が窓に詰まってしまったり。夜に外出すれば、一人暮らしという彼女の世間知らずぶりを垣間見てしまったり。
その中で知っていくのは撫子の事情。優秀な兄と姉を持ち、期待されずに育ち。だからこそ完璧であらねば、間違わないように、と。
「でも、なにがなんでも正しくなくちゃいけないなんて、そんな決まりもない」
だけど、オカルト研究会という非公認の同好会に関する騒動の際。迷ってしまう撫子。生徒会長として正しいのは取り潰す事、だけど自分の心は否、を叫ぶ。 正しい事と間違った事の板挟み、なればどうするのか。貴樹はそれに向き合って。彼女の本心、掲げた願いに沿う「正解」へと導いていくのだ。
真っ直ぐな生徒会ラブコメ、ぽんこつなヒロインが可愛いこの作品。生徒会ラブコメが好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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