読書感想:校内三大美女のヒモしてます

 

 さて、ヒモというと最近では姫騎士様のヒモ、少し古くは某MF文庫Jの、まぁぶっ飛んでいて人を選んだ怪作が存在している訳であるが。ヒモ、というのはぶっちゃけ働いていないという事とも言える。 そういう生き方は嫌いという読者様もおられるだろう。ではこの作品はそんな、ヒモという単語がタイトルに入っている訳であるが実際はどうなのか。その辺りにこれから触れていきたい次第である。

 

 

父親と妹であるあかりとの、父子家庭の三人暮らしの少年、京。貧乏な家なりに頑張り、あかりを大学まで行かせるために日々バイトに励み、そのせいでクラスで少し浮いている少年。そんな彼のクラスには、三大美女と呼ばれる少女達がいた。千景(表紙中央)、司(表紙右)、桜子(表紙左)。 あまり周囲とは深くかかわらぬ三人。そんな三人は、千景は京のバイト中、司はクラス皆で出かけたカラオケの場、桜子は街角の桜並木での出会いの中。他の男子とは何処か違う、京の事が気になり始める。

 

「京坂をさ、私のモノにしたいんだよね」

 

そんな中、京と一緒に三人が巻き込まれた、先輩からのお誘いである写真撮影。そこに隠れていたのは、まぁ邪な思惑で。 いち早く気づき魔の手を逃れ、三人を助けた事で。千景が京への恋に落ち、残る二人も京の事が違う意味でも気になり始め。話し合った末、三人は一つの策を導き出す。

 

「なんか私、その言葉にグッときちゃってさ」

 

それは彼を自分達で雇う、という事。実は三人は有名同人サークル、「メロウ」で高校生にして数千万円を稼ぎ出す者達であり。あかりにも背を押された事で、京は雇われる事に決め。 一先ず彼女達が作業場としている司の家で、雑用係として試験雇用される事となる。

 

「悩みがあるなら、ちゃんと聞くよ。僕にできることならなんでもする」

 

彼女達のアプローチに戸惑いつつ、家庭的な料理や綺麗な掃除で心を掴んで。彼女達の悩みに真っ直ぐに向き合い、自分に出来る事を少しでもしていこうと。 自分達のアプローチに慌てふためく童貞ぶりと、純朴で真っ直ぐな誠実さに、三人そろって惹かれていって。気が付けば抜け駆けをしようとしたり、とどんどんとアプローチが激しくなり始める。

 

そこへ水を差さんとする不穏な影が。前述した先輩が身勝手な逆恨みを募らせて。家族の時間で京が不在であった隙を突き、三人を襲うべく襲撃してきて。

 

「今がその時なんだよ、父さん」

 

その窮地、見逃すわけにはいかぬ。 危険であっても、今は知った事ではない。大切な人たちを守り抜く為に、京は竹刀片手に駆け付けて。磨き上げた剣道の技で窮地を救って。

 

「ふつつか者ですがよろしくお願いいたします」

 

結果、三人から本格的に愛される事となり。ヒモ、としての道が始まるのである。

 

ハーレムになるのも納得な主人公に魅力あふれる、甘さ溢れるラブコメが見所なこの作品。ぐいぐい来るヒロインに悶えたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 校内三大美女のヒモしてます (ファンタジア文庫) : 暁 貴々, おりょう: 本