さて、前世の恋人云々言い出してくるヒロインというと某サーカスのかのゲームのヒロインが思い浮かぶわけであるがそれはともかく。そも、その前世が確かにあったとして。今世までその関係を持ち込むと言うのは果たして正しい事なのだろうか。前世と今世、人間として同じであるのか、それとも。 更に言うなればそもそもそれが正しいのかは、どう証明すればいいのだろうか。
「―――見つけた」
「初めまして、きみの前世の妻です。どうか今世でもよろしくね」
と、まぁそんな四方山話はさておき。ぼっちではあるが苦にならぬ、寧ろ注目を集める方が苦手な少年、邑楽。 席替えにより彼の隣の席になったのは、学校一の美少女、または開校以来の才媛と呼ばれる少女、かがり(表紙)。いきなりこんな事を言い出してきた訳であるが、そもそも邑楽と彼女は今まで関わり合いもなく。彼からすれば、いきなり電波な事を言い出したくらいの認識なのであった。
「もうヤダこの人・・・・・・話が通じてないよぅ」
当然周囲と一緒に大混乱、それどころかかがりは過去の捏造までしてきて。よく分からぬうちに押し切られそうになり、ひとまずお友達から始める事に。
「このくらい、お見通しに決まってるじゃない」
だけど彼女は、ぐいぐい来る。突然腕に抱き着いてくるし、気が付いたら放課後に喫茶店デートに向かう事にもなるし、邑楽が一人落ち着く場所にもしている空き教室にもやってくるし。だが、ぐいぐい来るだけじゃない。彼に何があったか、事細かに察してくるし、支えようともしてくる。何故かと言えば前世の恋人で今世でもその立場を目指しているから。
「それじゃあ、わたしの役目は一つしかないね」
そんな彼女を拒む、という事もなく。気が付けば彼女は、邑楽の事情にも触れていく事になる。両親が事故死し、従妹の家に引き取られ。だけど、馴染みきる事は出来ず一線を引いているからこそ、義妹である愛華とも馴染めずに。そんな彼を支えていこうとする彼女。
「だから、証拠を見に行こっか」
自分の傍から離れぬと言う彼女と作るのは、よく分からぬ部活。実質的には顧問の先生の使い走りなその活動に従事する事となり、また新しい日々が始まっていくのだ。
ちょっとグイグイ来るヒロインに振り回される、少し不思議な日々、何気ない日常。そんな中で少し不思議なラブコメが始まっていくこの作品。ちょっと見たことのないラブコメを見てみたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 隣の席の高嶺の花は、僕の前世の妻らしい。 今世でも僕のことが大好きだそうです。 (ファンタジア文庫) : 渡路, 雨傘 ゆん: 本