読書感想:この青春にはウラがある!

 

 さて、私こと真白優樹は自分で言うのも何であるが、多分ウラオモテがない性格である。別に裏アカみたいなものも持っていないし、いつも呟いている事の内容は基本的に統一している。しかし、誰しもと言っていいのか分からないが、人間にはウラオモテがあるものであり。そのウラオモテは時に青春のトリガーとなるのである。

 

 

ではこの作品においてはどうなのか。先に言ってしまうと、トリガーである。ではどのようにトリガーとなるのか、それはこれから触れていきたい。

 

友だちはいるけれど親友はいない、勉学も運動もまぁそこそこ。裏表がないそれなりにスケベで馬鹿で女好き。まるでどこぞのエロゲの主人公を若干マイルドにしたようなタイプの少年、夏彦。そんな彼はある日、偶々訪れた学校の屋上で。皆が憧れる才色兼備の生徒会長、唯の衝撃的なものを目撃する。

 

「八重樫先輩がパンツを穿いていなかったんだけど、どう思う?」

 

「あんた何言ってんの?」

 

 それは、彼女がパンツを穿いていなかったというもの。空手の実力者であり生徒会会計でもある幼馴染、ひより(表紙)に相談した所、意識を刈り取られ彼は生徒会室に拉致される。そこで彼は唯の衝撃的な秘密を知らされるのだ。

 

それは彼女が、実は天然気味のぽんこつであり、生徒会全員でそれを隠すためにカバーしていると言う事。秘密を知った彼の弱みを握ろうとするも、彼の天然馬鹿っぷりに毒気を抜かれ。結果的に彼も生徒会の一員となる事となる。

 

生徒会の一員として、副会長であるアリスや無表情系な後輩である椿姫とも仲良くなり。資料室に閉じ込められたら服をロープとして脱出しようとしたり、重要書類を誤って廃棄しようとしてしまった唯のサポートに駆け回り。クラスのアイドル的存在、ルミに誤解されて絡まれたかと思えば、その天然ぶりで彼女を本気にさせてしまったり。

 

そう、色々な意味で裏表のない、いつも言動が真っ直ぐで全速力。そんな彼の言動は振る舞いは。いつの間にか少女達の心にするりと入り込んでいく。いつの間にか、彼女達の心を掴んでその中心となっていく。

 

「愛してるに決まってるじゃない。言わせないで、恥ずかしいから」

 

そのきっかけとなったのは、幼馴染であるひよりとの過去。いつも彼にギャグ的描写の伴う蹴りを入れたりしている彼女。そんな彼女の本心もまた、裏に隠れている。気の置けない気やすさの裏、好きを超えた思いが隠れているのである。

 

漫画になったら、アニメ化したらこの作品は映えるかもしれない。ああ何という事だろう。この作品は、断言しよう。最高に面白い。まっすぐな青春がこれでもかと繰り広げられている、だからこそ何処か懐かしく心をくすぐる面白さがあるのである。

 

青春の風を感じてみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: この青春にはウラがある! (電撃文庫) : 岸本 和葉, Bcoca: 本