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読書感想:俺と妹の血、つながってませんでした - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、知ってしまったのならば、知らなかった、事には戻れない。一度生まれてしまったものはそう簡単には死なない。それは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。 前巻、光雪の知らぬ所で久留里が知ってしまった、自分と兄には血のつながりがないと言う事実。自分の叶わぬ筈だった思いの大義名分が取り払われた事で、いよいよ思いが動き出していくのが今巻なのである。
「お兄とお姉が代わりに四葉のパパとママになって!」
前巻で知ってしまったと言う事実を早速、久留里は光雪に明かそうとし。しかし折よく、もしくは運悪く。両親の割と深刻なレベルの喧嘩の発生によりその機会を逃し。冷戦状態の両親から逃れるべく遊園地に出かける中。四葉のお願いによりパパとママのフリをする、という事が一つ、波紋を生み出していく。
それは否が応でも意識させる、という事。 お互いがお互い知っているという事に気付かず。 しょうもないレベルだった喧嘩の真実が判明する中、隠したい思いは言う事は出来ず。どこかぎこちなさを発揮させる中、久留里の友人の祖母の家に、兄妹三人そろってお泊りに行くことになり。しょぼいビーチで遊んだり、スイカ割をしたりと、定番の夏休みを過ごす中。
「隠しごとがあるだろう」
何かを言いかけては引っ込める、という久留里の態度に光雪はやはり引っかかるものを感じ。彼女にそれとなく問い詰めた事で、戸籍の真実を久留里も感づいたと言う事を知り。 光雪の中に危うさと、心の揺れを感じた久留里はここからが勝負だ、と攻めていく準備を始める。
そんな中、二学期となり。恋愛相談、という名目で渡瀬が光雪に接近し。 攻めきれず煮え切らぬ思いを抱えていた久留里の思いが、焦燥感の果てに暴走を始める。
「血はつながってない!」
思わずと言った感じの暴露、勢いのままにばらすのは校内中。校内全員にその真実が露呈してしまう中。恋、という気持ちに嵌り切れぬ光雪は、自分の中で彼女への思いに向き合っていく。
「私は今からコウちゃんの妹をやめます!」
母親からの言葉、そこから諭されるのは向き合うことの必要性。 久留里の宣言、それが導くのは未来へ向かう、希望的な変化の香り。
告白、真っ直ぐに。 変化を、少しずつ。 少しずつ変わる事への恐怖が無くなっていく中で。彼等の関係は何処へと変化していくのだろうか。
前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 俺と妹の血、つながってませんでした2 (ファンタジア文庫) : 村田 天, 絵葉 ましろ: 本