読書感想:オタク知識ゼロの俺が、なぜか男嫌いなギャルとオタ活を楽しむことになったんだが

 

 さて、ありのままの自分でいると言うのは大切であり、ありのままの自分を見せると言うのもまた大切である。まぁ何が言いたいという訳であるが、自分へ対する設定は盛り過ぎてはいけない、という事である。例えばネット上やSNS上であれば自分に対するステータスはいくらでも盛れる事であろう。だが、それをやるという事は嘘をつくという事である。それでいつか首を絞められないようにするため、ありのままの自分でいると言うのは大切な事である。

 

 

 

ではこの作品の主人公、ちょっと強面だけど普通の少年、陽斗には何が起きるのか。それは根暗ぼっちな級友でもある双子の妹、琴美に振り回されてしまう日常なのである。

 

意中の相手である陽キャ、鳴海の隣の席を射止めることに席替えで成功し。妹共々仲良くなりたいと思えど邪魔をしてくるのは、その親友である真帆(表紙)。せめて妹だけでもその友人の位置にねじ込めないかと考える中、琴美から厄介事が齎される。

 

「じゃあ無理じゃん」

 

それは彼女が熱中するネトゲでの嫁、「まほりん」とオフ会をする事になったと言う事。しかしネット上では陽キャな彼女はガチ目の陰キャ。だが行くのはコラボカフェ、非オタの陽斗には行った事もない場所。普通の人間であれば断るだろう、寧ろ私だって断る。しかし良い兄の側面を見せた彼は、一夜漬けで付け焼刃ながらも知識を身に着け、オフ会へ向かう事となる。

 

そこで待っていたのは、実は隠れオタクであった真帆。一先ず話を合わせ、途中で電話で琴美に連絡して知識を貰いながら何とか乗り切り。話はそれっきりで終わる、としたらこの作品は短編になってしまう、そんな訳はない。

 

「じゃあさ、あたしと付き合ってよ」

 

真帆に誘われるまま、琴美が今度はカラオケでのオフ会を受けてしまい、更には真帆からも偽造恋人のお願いをされる事となり。二人分のお願いを一手に引き受ける事となりながら、陽斗は必死に振る舞っていく。

 

そんな日々を重ねる中、真帆との距離は少しずつ近づいていく。知らなかった彼女の顔が見えてくる。だが、それだけではいけない。きちんと琴美にも向き合わせなければならない。いつまでも嘘はつけないから。2人と同時に関わりながら、陽斗は仲立ちとなるべく駆け回る。

 

「友達に決まってるわ」

 

そして二人は友達となる。その後は三人で、オタ活をしていくのである。

 

シリアス無し、真っ直ぐに何気ない日常を描いていきその中で仄かなラブコメをしていくこの作品。日常系ラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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