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読書感想:また殺されてしまったのですね、探偵様2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品をここまで読まれてきた読者様であれば主人公である朔也の特異性、死に戻りについて十分理解されている頃であろう。自分が被害者となる事から推理が始まる、それこそがこの作品の面白い所であるがこうは思われたことは無いだろうか。輪廻転生、どうなってるん?、と。実際、何故彼は何度も蘇れるのか。電撃文庫の某ヴァルハラを舞台にした作品では、冥界における主人公がエグイ事になっていたが、朔也の場合はどうなのであろうか。
と、ここまで前置きであるが実際の所、今巻ではその部分にも触れていく。死に戻りと言う朔也の特異性、それは言い換えてしまえば不死のようなもの。そんな力は誰にだって狙われたっておかしくはない。
だがしかし、その謎に迫る前に朔也には解決しなければいけない事がある。それはこの「画廊島」で未だ続く死の輪廻。シャルディナにより容赦なく突き付けられた制限時間が来るまでに解決しなければならぬのである。
ここで先に謝罪しておきたい、今巻は前巻の続き、丸ごと一巻かけて謎解きとなるのでどう足掻いてもネタバレにしかならぬので、更に感想がぼんやりとしたものになる事をお許しいただきたい。
大量の血を残し失踪したドミトリ、彼に続くかのように鳴り響く内線の先、混乱した謎の言葉を残しイヴァンもまたその姿を消す。
正に連続する不可能犯罪、謎が錯綜しトリックが真実を煙に巻く中、シャルと共に訪れたエリゼオのアトリエ、そこに遺されていた日記に書かれていた謎の言葉。
シーアレイツを起こしてはいけない。シーアレイツとは何か? そこに絡むのは三十歳過ぎまでの過去が謎なエリゼオの過去。それは正に「処女作」のコードネーム。だがそれは絵などではない。もっと恐ろしい、禁忌に踏み込むもの。
それはルゥの親戚であるはずのザヴァッティ二一家にも関係のあるもの。彼等が隠している事とは何か。それは彼等もまた、「処女作」を求めていたから。
そこに隠されていたのは真犯人の秘密。懸命に生きようとしていた彼女が自分に纏わる真実を知ってしまったから、この「画廊島」での事件は起きてしまったと言えるのだ。
「救えなかったよ・・・・・・。誰も。誰もだ!」
だが、探偵は推理する事は出来ても、救う事は出来るとは限らない。朔也が救いたかったものはその手から零れ落ち、爆炎が揺らす波間へと消えてゆく。
「その渦は朔也、あなたの不死を中心に回っているのよ」
だが、世界は朔也に立ち止まることを許さない。「最初の七人」が続々と動き出し、確かに何かが動き出す。その最中「最初の七人」の一人、「夢見し機械」は衝撃的な事実を打ち明ける。
果たしてこの先、世界に何が起きると言うのか。
シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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