読書感想:また殺されてしまったのですね、探偵様2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:また殺されてしまったのですね、探偵様 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、画面の前の読者の皆様の中で前巻を読まれた読者様であれば、こうは思われたのではないだろうか。主人公である朔也があまりにも役不足に過ぎる、世界最高の犯罪者達である「最初の七人」を追い詰めるどころか振り回されてばかりだと。しかし、よく考えるとそれもまた仕方のない事かもしれぬ。それは何故か。何故ならば、彼には決定的に不足しているものがあるからである。

 

 

それは「先人の知識」。本来であれば父親である断也から学び、受け継ぐべきもの。しかし、今はもう断也はいない。彼に全てを受け継がせる前に死んでしまった。故に朔也は半人前、まだまだ卵に他ならぬ。

 

 しかし、それでも「最初の七人」を追いたいという心がある。その為に必要な協力者を探し、父親の日誌をあさる中で見つけた名前、フィド。それは英国最高の探偵であり、父親の旧友。彼に会いに行くために、英国へ向かう為に。旅費を稼ぐために受けた新たな依頼。しかし、画面の前の読者の皆様ももうご存じであろう。彼の行く先には、彼を被害者とする殺人事件しか待っていないと言う事は。

 

最近復活したばかりの遊園地、水島園で無くした結婚指輪を探すと言う依頼。しかし、フィドもその助手と共に向かってくるそこで巻き起こるのは新たな事件。その名も「人食い観覧車の園」の謎。観覧車が一周すると言う短い時間の間に、十五個の密室で同時に発生した不可能殺人。

 

その事件を何とか超え、彼に接触してくるのは「最初の七人」の一人、「大富豪怪盗」であるシャルディナ。自身の拠点まで来れば、父親の事を教えると言う誘いに乗り航海へと乗り出していく朔也達。

 

だがしかし、新たな事件はすぐそばまで迫っている。難破し漂着した絶海の孤島、天才画家の孫、ルシオッラと従者であるウルスナが住まう「画廊島」。セイレーンの伝説の残る島で待ち受けているのは、人間には不可能な犯罪。

 

「それに、いい具合に謎解きがスリリングになったでしょ?」

 

 秘められていた秘密を解き明かし、事件を解決した筈だった。だがしかし、事件は未だ終わらない。それどころか朔也達を迎えに来たシャルディナが自分の命すらもチップにした危険な制限時間を設けてくる。更に事件は終わらない、そんな中で始めなければならぬ、新たな推理を。

 

果たして、振り回されるだけの朔也は反撃に転じる事は出来るのか。この事件の先、自らの殻を破って成長することはできるのか。

 

更に謎と舞台が深まり、面白さも深煎りされていく今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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