読書感想:技巧貸与<スキル・レンダー>のとりかえし2 ~トイチって最初に言ったよな?~

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:技巧貸与〈スキル・レンダー〉のとりかえし1 ~トイチって最初に言ったよな?~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、「借りたものを返さない」のは俗にいう借りパクというものであり、きちんと借りたものは返さねばならない。それは借金であっても同じ事である。もっとも大抵の場合は口約束でもない限り借用書のようなものが残っていると思われるので、踏み倒し何て特に出来る事もないのだが。

 

 

と、まぁそんなお話はともかく。前巻で狼人族の「借り物の王」となったマージは一切の活動が制限される冬を迎える前に、領地経営に励み困っている者達を救う事で少しずつ領民を増やし、領地を充実させ始めていた。

 

 そんな彼の元に一つの報告が舞い込む。それは騎士団の手に落ちた鉱人族、つまりはドワーフの者達の居場所が判明したと言う事。早速仲間達を引き連れ奪還に乗り込んだマージは面倒な敵と遭遇する。

 

その名はキルミージ。「紅麟騎士団」の団長であり、暗示により他人を操るスキルを持ち、奸計によりマージから勝手にスキルを借り受けた厄介な敵。一先ずの邂逅と接敵を乗り切り、鉱人族の姫であるアズラ(表紙左)を救出し。だが彼女もまた暗示の中という厄介な事態はぬぐえぬまま、アズラより齎される一つの情報。それは騎士団が鉱人族しか知らぬ超S級ダンジョン、「紅奢の黄金郷」を狙っていると言う事。

 

 無論、それを放置するわけにもいかぬ。先んじて富を回収してしまう為に、騎士団の面々も迫る中攻略に乗り出すマージ。しかしかのダンジョンの最深部、待ち受けていたのは意外な相手。その名はロード・エメスメス。鎖に身を変え強大な竜を縛り上げていた彼は何を隠そう、マージの仲間であるアンジェリーナの父親である。

 

彼の口から語られる彼女の過去の真実。そして巻き起こるキルミージとの二度目の対決。だが、その結果を嘲笑う様に。ロードの予想を超えた速さで最悪の事態が巻き起こり、封じられていた「王」が目を覚ます。

 

 あまりにも強大なかの「王」に対抗するのは、マージの力か。彼により暗示を解かれた鉱人族の者達の力か。否、この戦いに限ってはそれは彼等の役目ではない。この戦いの主役となるべきは、アンジェリーナ只一人。

 

「千百年の備えは決して、決して無駄ではなかったですよ」

 

そう、隠されていたスキルにより全てを受け継いだ彼女こそ。千百年もの間準備を整え未来へと希望を繋いできた一族の末裔である彼女こそ。この戦いを終わらせるに相応しいのである。

 

地下坑道と黄金郷、鎖な親父、受け継がれた悲願、身を削る戦いと躍動する巨大ロボ。正に作者様の趣味がこんなの好きでしょ、と叩きつけられる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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