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読書感想:不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で始まった、晴麻と紅葉、二人の異能保持者による探偵とその相棒によるお話が始まった訳であるが。紅葉の父親の死、という謎がこの作品の根幹にはあり、そもそも紅葉の不死への対処、という手掛かりもない問題がこの作品にはある訳であるが。その問題に今巻は光を当てていくのか、というと今巻ではそんな事はない。寧ろ今巻では、二人の心の距離の更なる接近を描いてくのだ。
しかし、忘れてはいけぬ。この作品、人が簡単に死ぬ。そこに例外はなく、名探偵がいるならいいよねと言わんばかりに、確実に息の根が止まる。それは誰が相手であっても、という事を。
そして今巻のサブタイトル、君に遺す『希望』とは何か。そこには様々な意味があるのである。
「実は今朝、この喫茶店の店員が店内で亡くなっているのが発見されたんだ」
一先ず日常に戻り、鉄板ナポリタンが有名な喫茶店で澪太郎に遭遇して仲をからかわれたりする中、彼等の来訪の翌日、昨日まで接していた店員が密室の中で殺される、という事件が発生し。どう発生したのか、という密室の謎だけを推理し、あとは警察に託す中。彼等の元を転入性が訪れる。
「でも、最後まで冷堂の傍に、ずっと一緒にいるから」
その名はエレインとメアリン、「透視」の異能を持つ姉と普通の女の子な妹と言う、紅葉の施設時代の友達。2人によって紅葉が着せ替え人形にされたり、晴麻に興味を示したメアリンに対し、紅葉が独占欲を見せたり。・・・・・だけどそんな日々は長くは続かなかったのだ。
巻き起こるのは二人の死。それも、エレインが美術部室で、三本の矢に打たれて、メアリンが更衣室で首つりしている、同時に発生した密室、という不可解すぎる事件。心折れ死のうとする紅葉に約束して引き留め、事件を解決するために行動を開始する。
さて、ここからは謎ときの時間である。無論私は、答えを書く事はしない。なので前巻に則り、ヒントを晒させていただこう。
姉の死は何故、そこに密接にかかわるのは彼女の異能。
この事件の背後にあるのは怨恨、しかしそれだけではない。犯人は本当の犯人ではない。
では本当の犯人は誰か。一見繋がっているように見えて、本当に繋がっていない事件の裏にいるのは。それは、やはり彼等の傍に居る。全ての発言、そして時間を巻き戻した事で変わった展開、その中にヒントがあるのだ。
「君もここで死んでいた方が楽なのかもしれないよ」
そして見えるのは、紅葉の父親の死に絡みそうな手掛かり。どうもその事件には、大きな権力が関わっていそうという事。
果たして隠されている世の裏、何があるのか。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。