読書感想:好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい

 

 さて、突然ではあるが私はこのブログで日々ラノベの感想を発信している訳であるが、私は時々思う。果たして私の「好き」という思いは、きちんと伝わる形で文章に出力できているのであろうかと。その答えは、私では分からない。だが伝わっていると信じて、今日もブログを更新し続けている訳である。画面の前の読者の皆様も、自分の「好き」を発信されているであろうか。 なにも恐れる事もなく、自分の好きを発信されている、であろうか。

 

 

氷の国、フィンランドから来た留学生、エイヤ(表紙)。「氷のエルフ」と呼ばれるほどに周囲に対して塩対応であり、少しでも話せれば御の字、それほどまでに周囲からは孤高の花として扱われる彼女。

 

「もい! オーガ!! 待っていましたよ!」

 

 が、しかし。ホストファミリーとして受け入れ先となった同級生である主人公、桜雅だけは知っている。彼女は実は表情豊かな存在であると言う事を。実は、オタク文化に興味津々でオタ活の為に日本まで来た、という事を。いつもの態度は単にコミュ障なだけであり、人とうまく話せないからこそ塩対応に見えているのである。

 

では何故彼女は桜雅にだけは普通に話せるのか。それは桜雅もオタクであるから。しかし彼は過去の苦い経験からオタクであるという過去を捨てた、いわば元オタクである。

 

しかし、目を輝かせるエイヤを独りぼっちにはしておけない。日本につくなりアニメのグッズに目を奪われ、秋葉原の景色に目を輝かせていた彼女。その「好き」が、何も隠さぬ純粋な思いが桜雅の心を擽っていく。忘れた筈の、「好き」と言う感情に火をつけていく。

 

一緒に今流行のゲームをしたり、聖地巡礼に出かけたり、フィンランド式のサウナに出かけたり。二人で幾つもの好きを積み重ねて、初めてを重ねて。そんな日々の中、桜雅はエイヤの事情に触れていく。厳しい両親にオタクであることを否定され、この日本に逃げてきたという事情を知っていく。

 

「二人でやるから、あんなにも楽しいんだ!」

 

 改めて向き合う、自分の中の「好き」という思い。エイヤと一緒に、だからこそ知れた「初めて」の楽しさ。その初めてを共有した相手であるエイヤと思いが繋がり、過去が繋がっていく。お互いがお互いの始まりであったという過去を思い出していく。

 

これからも一緒に、その思いのままにどんどんと初めてを共有する。正に割れ鍋に綴じ蓋、比翼連理。お似合いな二人のピュアに過ぎるラブコメであるこの作品。

 

だからこそ、この作品は真っ直ぐに心を擽ってくる。故に、王道的に面白いのである。

 

王道なラブコメを読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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