さて、最近では告白から始まるラブコメ、既に恋人同士として始まるラブコメ、変わり種では婚約から始まるラブコメ、というのもある訳であるが。最初は好感度ゼロ、という始まりが最近少なくなってきているのを見ると、時代の変化を感じる、という事もあるかもしれない。この作品も例に漏れず、婚約から始まるラブコメなのであり。しかしその始まりは、ある意味運命的であった、という所から始まるのである。
名古屋市東区の中高一貫校に通う透。近衛家、という名家の分家出身である彼は、しかし高校では自分を押し殺し、そつなく生き、何処にでもいるモブとして振る舞っている。その根底にあるのは、かつてのとある失敗、という苦い過去。本家生まれの従姉妹であり婚約者であった知香を支え続け絆を深めていたものの、かつて共に巻き込まれた誘拐事件の時に彼女を見捨てて一人逃げてしまい。結果として、婚約を解消され家からも追い出されたと言う過去である。
「連城くんにはね、わたしの婚約者になって欲しいの」
そんな彼が乗換駅である名古屋駅前の本屋(三省堂、ゲートモールタワー店?)で助けたのは、学校で一番可愛いと有名なフィンランド系の美少女であるリュティ(表紙)。赤字続きの会社の令嬢であり、その資金援助のために資金援助する会社の社長の親族とリュティを婚約させる、というどう考えても時代錯誤、今時流行らないだろ、と言いたくなるような政略結婚の話。
「もしかしたら運命なのかも」
その政略結婚の話から逃れる為に、彼女は透に偽りの婚約相手になってほしい、とお願いしてきた。しかし近衛家の秘書であり透にあっても姉的な相手である冬華から知らされたのは衝撃的なお話。なんとその相手は透であった、という正に運命的な偶然。リュティは喜んでそれを受け入れ、二人は用意された家に引っ越して。いきなり同棲生活、と言わんばかりに二人の同棲生活は幕を開ける。
「婚約者にしかできないこと、してほしいな」
二人の仲を危惧したのか、それとも透に未だ何か思う所でもあるのか、監視と言う名目で知香も絡んでくる中、リュティはどんどん攻めてくる。混浴したり、同衾したり。婚約者と言う立場を盾に、透の理性をまるでおろし金の様にゴリゴリと削っていくように。ぐいぐいと迫ってくるのだ。
それに触発されるかのように、知香も少しずつ大胆な行動を見せ始め。二人の少女に振り回される中、少しずつ透の心は癒しを得ていく。幸せにしたい、と行動するリュティの愛と優しさで、少しずつ心が染められていくのである。
そんな、婚約から始まる甘さに溢れるラブコメが好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
北欧美少女のクラスメイトが、婚約者になったらデレデレの甘々になってしまった件について1 (一二三書房) | 軽井広, pon |本 | 通販 | Amazon