読書感想:モブから始まる探索英雄譚4

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前巻感想はこちら↓

読書感想:モブから始まる探索英雄譚3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、ここまでダンジョン探索を積み重ね、気が付けば頼れる使い魔、仲間も得て異名も付いて有名になりつつある主人公、海斗であるが、そんな彼の力を以てしても、ダンジョン攻略は中々簡単にはいかぬ、というのはもうご存じであろう。それもまた仕方のない事かもしれぬ。なんせ彼等はスキルがあると言えど一般人。対する魔物は正しく超常の存在なのだから。

 

 

しかし、忘れてはいけぬことがもう一つ。海斗は厄介事の神様に愛されている、という事。前巻では神話上の生物と、それを従える悪魔の襲撃に遭い。どんどん厄介事のレベルが上がっている気もするが、一体何なら次の相手に相応しいのか。

 

 そこに名乗りを上げるかのように彼の前に姿を現す魔物、それは「偽神」。いつもの仲間と共に潜った十一階層、そこでシルが発見した隠し通路。その先に待っていたのは、古代エジプトの神々を模した魔物達だったのだ。

 

正にボスラッシュと言わんばかりにどんどんとレベルをあげながら迫りくる偽神達、それを相手にバルザードの新たな使い方を生かし、更にはルシェの真の力を解放し。神話のように何度も復活する敵を何とか撃破し。僅かながらもお宝を手に入れ、地上へと戻る海斗達。

 

 だがしかし、今巻の脅威はそれだけに非ず。十一階層と十二階層、それぞれ砂漠を模した階層で彼等に牙を剥くのは激しい寒暖差という外的要因、更には魔法すらも用い狙いにくい小ささとすばしっこさで走り回る魔物達が彼等へと襲い来る。

 

今までは勢いで突き進むことが出来た、けれどここからは違う。何度もトライを繰り返し、準備不足と言うエラーを積み重ね。幾度となく積み上げ、重ねる事でしかこの先へは進めない。高い費用を出して準備した防具が簡単に壊されるほどに。ここから先は甘くはない。

 

だが、その積み重ねがあるからこそ実感できるものがある。真司や隼人と潜った階層、海斗に憧れ頑張ってきたからこそ身につけることのできた彼等の成長を実感し。

 

スライムの魔核を集める為に潜った低階層。効率の良い倒し方を模索する中で、自分らしい戦い方と成長を見つけていく。

 

「ダンジョンが大事なのはわかるけど、無理はしないでね。約束ね」

 

 ダンジョン厨と呼ばれる程にダンジョンに潜ってばかり。でも、春香のように心配してくれる人もいる。だからこそ頑張れる。無理は出来ぬ、心配をかけたくないしこの先も生きていく為に。

 

更にコツコツまた一歩、独特の面白さが繰り広げられる今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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