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読書感想：時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん３ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻まで何度も何度もぶつかり合ってきた政近&アーリャ、そして有希であるが、そんなに何度もぶつかり合っていても疲れるだけ、と言ってもいい。折しも季節は夏休み。つまりはどういう事か。言ってしまえば一時休戦の季節。今だけは敵同士であることも忘れ、同じイベントを楽しむ季節なのである。
前巻の最後、ようやく名前で呼び合う関係となり。気恥ずかしさから悶々とした煮え切らぬ感情を交える日々を過ごす中。有希と二人、兄妹で遊園地に出向けば乃々亜と沙也加に出会い。関係を邪推されるも、実は政近の幼き頃に関わりのあった乃々亜に助け舟を出され、沙也加の意外な内心を知ったり。
アーリャと家で勉強会をする中、ひょんな事から自分以外の女が家に入った事を知った彼女にデートに連れ出されたり。
煮え切らぬ思いを抱えていても、心はいつも通りに振る舞える。そんな中で始まる、生徒会による生徒会合宿。いつもの仲間達と共に、豪華絢爛な別荘宅へと繰り出して。プライベートビーチから始まり、夏祭りや花火と言った夏らしいイベント目白押しな日々を駆け抜けていく。そんな中で見えてくるものがある。それは政近の過去、そこから始まる内心。どこか飄々とした煮え切らぬ彼の、心に秘めた後悔と懺悔である。
【責任は・・・・・・取ってもらうけど】
夏という季節が開放的にさせるのか、ラッキースケベを盾にアーリャがぐいぐいと距離を詰め。どこか小悪魔ちっくに、刺激的に。彼に果敢に駆け引きを仕掛け、彼の心をこれでもかと揺らしていく。
「久世くんは、ちゃんと誰かを好きになれる人だから」
もう恋なんてしない、少なくとも今はしない。そう決めた筈なのに、マリヤに優しく受け止められ背を押され。自分の事を自分以上に分かってくれる彼女の言葉が、彼の心に沁み込んでいく。
「久しぶり―――」
空に咲く花火の元、気付くアーリャの想い。その想いは自分も同じなのか、と考えてかつての恋の思い出を辿り、自分の中の後悔と最低な自分を見つめ直し。その最後、思い出の場所で。「彼女」は唐突に現れる。どこか切なげな顔で政近の前に現れ、万感の思いを込めて迫ってくる。
唐突に投げ込まれた特大の石は、既に水面に波紋を起こした。故にもう、止められぬ。人間関係にここで投げ込まれた爆弾は、果たして新学期にどんな変化を生んでいくのか。
次巻、刮目したい。きっと特大の波乱が待っている筈である。
時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん4 (角川スニーカー文庫) | 燦々SUN, ももこ |本 | 通販 | Amazon
