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読書感想:神は遊戯に飢えている。3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、神を相手に繰り広げる遊戯で、倒すべきラスボスである神が既に不在、しかもセーブしたと言う結果により他のゲームへ挑む事が不可能と言う状況から始まる今巻であるが。画面の前の読者の皆様、何かお忘れではないだろうか。細音啓先生の作品における、必須ともいえる要素を何かお忘れではないだろうか。
それ即ち、「主人公達も知らぬ事実を知る何者か」。舞台裏、何かの思惑の為に蠢き舞台をどんどんときな臭くしていく者。そんな者達の影が見え始めるのが今巻なのである。
セーブした事により一先ずの脱出が成功し、しかし結局ダイブすれば迷宮に出ると言う事には変わりなく。攻略するために、再びダイブしていくフェイ達。
だがしかし、すぐに舞台裏で蠢く何者かの魔の手が彼等へと迫る。まるで攻略を邪魔するかのように、ウロボロスだけが追い出され。結果的に彼女抜きで攻略を強いられる。
さて、それではそろそろ少しだけ語るとさせていただこう。画面の前の読者の皆様は、そろそろこの死と再生の迷宮の攻略条件はお分かりになられたであろうか?
鍵となるのは「再生」という文言、そしてこの迷宮を文字通り「遊びつくす」という事。それは文字通り、フェイ達のチームだけでは遠すぎる道程。なれば如何するべきか。必要となるのは全員の力、全員でこの遊戯を遊びつくすと言う事。
『・・・・・・いいなぁ。やっぱり遊戯は楽しいなあ』
『余は満足した。お前たちの勝利だ』
そう、それこそが神の望み。作り過ぎた自分の遊戯を誰か遊んで欲しい、楽しんでほしい、遊びつくしてほしいという願い。復活したGM、冥界神アヌビス(表紙)はフェイ達の活躍と遊戯に満足し、彼等に勝利を授ける。だがしかし、それをよく思わぬ何者かの魔の手が、新たな遊戯へと挑むフェイへと迫る。
誰よりも遊戯を愛するから、誰をも大好き、だからこそ守りたい。だからこそ、「神々の遊び」は存在してはいけない。何者かの手により囚われたフェイへと語る謎の声、自身に流れる加護により跳ね除け脱出した先、新たなゲームの幕が上がる。
しかし、その遊戯もまた未知なる遊戯。今度の相手は神々。史上初、人間と神々とのチーム戦。
一体、その言葉が真実とするなら、「神々の遊び」には如何なる真実が隠されているのか? クリアした先にはどんな事態が待ち受けているのか? 「何者か」は何故、神々の遊びを終わらせようとするのか? その全てに今は答えはなく。だがしかし、確かに言える事が一つある。
それは、この作品が新たなるギアを動かし始めたと言う事。そしてさらにこの作品が深まり面白くなっていくと言う事の筈である。