読書感想:最凶の魔王に鍛えられた勇者、異世界帰還者たちの学園で無双する1

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 さて、「勇者」と呼ばれる存在は清廉潔白である、というのはいつごろからついたイメージなのであろうか。勇者と言うのは、ライトノベルでは世界を救うまでの過程が描かれるものであり、世界を救い元いた世界へ帰還したあとのお話が描かれたりするものである。しかし、勇者は必ずしも清廉潔白であるとは限らない。人間的に「外道」と呼ばれる者たちだっている、というのも相場が決まっているものである。

 

 

日本の某所に設立されたユグラシア学園。天に住まう女神様各位と日本政府の共同の元に発足した教育機関であり、人間と女神の架け橋となるべく作られたこの学園。

 

 この学園に今年入学した少年、恭弥(表紙中央)。彼は普通の人間ではない、しかし彼だけが特別な訳ではない。何故ならこの学園の生徒は皆、異世界を救い帰還した元勇者達だからである。

 

だが、彼は入学早々「落伍勇者」と呼ばれるカテゴリーへと押し込まれ、差別される存在へとなってしまう。それは何故か。何故ならば彼は、女神の恩恵たる固有異能を持たず世界を救えなかったから。

 

 だが、真実は実は少し違う。彼は確かに世界を救えなかった。だが、一人の大切な女性を救う事は出来た。その名はフェリス(表紙右)。数千の世界を滅ぼした後、女神たちによって何もない荒野の世界へ封印された最強の魔王である。

 

彼女により数万年もの間鍛え上げられ、彼女を殺すのではなく生かす方法で救い。故に恭弥は確かに固有異能なんてない。しかし、その代わりにその身には圧倒的な力が眠っている。

 

その力の一端を目撃した同じ落伍勇者、小毬(表紙左)に懐かれたり、頼れる?女神のララと出逢ったり。仲間を増やし、少しずつ進んでいく恭弥達。

 

 そんな彼等へと牙を剥くのは、悪しき勇者の思惑。救うべき異世界を見捨てて、魔王すらも利用して己の願いを叶えようとする悪しき思惑。

 

「全身全霊で来い。そんなおふざけじゃなく、全力で。じゃなきゃ・・・・・・お前、死ぬぞ?」

 

仲間に手を出され、傷つけられ。湧き上がる、まるで氷のような怒り。目の前にいるのは許せぬ悪。その怒りを前に、舐めた勇者は思い知る事となる。誰を敵に回したか。フェリスから最強の力を学び、全てを受け継いだ恭弥の力がどれほどまでに高みにいるのか、という事を。

 

理不尽を圧倒的な理不尽で上からねじ伏せる、熱さと逆転の爽快感のある物語の展開が魅力となるのが今作品である。

 

故に、熱さを求められる読者様にはこの作品をお勧めしたい。

 

この作品には、確かな熱さがあるので。きっと貴方も満足できるはずである。

 

 

最凶の魔王に鍛えられた勇者、異世界帰還者たちの学園で無双する 1 (HJ文庫) | 紺野千昭, fame |本 | 通販 | Amazon