読書感想:家事万能の俺が孤高(?)の美少女を朝から夜までお世話することになった話

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 さて、今の世の中では男性も家事が出来る事が求められている、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。家事は女性の仕事、なんていうのは昭和の考え方であり今は令和。価値観と言うものは時代に応じて変化するものであり、今の時代は既にだいぶ前から共働きの時代だからであり、専業主夫という言葉もあるように、男女に求められる役割も変わっていっているものだからである。

 

 

そんな、今の時代で求められるスキルがカンスト状態な少年、それがこの作品の主人公である鏡夜。ちょっと不愛想かつ生まれ持った強面の外見から怖がられる事も多いけれど、本人は「オカン」と言われるほどに家事万能かつ世話焼き体質の少年である。

 

 いつも通りクラスメイト達の世話を焼いたりするある日。両親の紹介により、二日に一回ご飯を作るお手伝いさんをする事になり。雇い主として現れたのは、級友である祈(表紙)。神秘的、かつ孤高にして学校随一の美少女・・・と思われていた美少女である。

 

「そ、それ! 私のパンツ!? み、みみ、見ないで!」

 

「ドやかましいわ。洗濯するんだよ、寄こせ」

 

その内実は家事能力皆無、そして勉強も運動もてんでダメというポンコツスペック。孤高と思われていたのは、単にコミュ障によって周囲と関われなかっただけ。故に友達も一人もおらず。

 

そんな彼女が鏡夜に頼りきりになるのにさほど時間はかからず。友達が欲しいという彼女の願いを叶える為、鏡夜も協力する事になり。

 

コミュ障である彼女が彼女なりに必死に努力するのを時に見守り、時に自身のスキルも生かしてさらりと手を貸したり。陰に陽に、様々な形で手助けをしていく。

 

その日々の中、二人ですき焼きの鍋を囲んだり。学年別対抗戦に向けて二人で訓練したり。二人の時間が増えていく、お互いの知らぬ顔が埋まっていく。

 

「・・・・・・そんなこと、ない・・・・・・。いて、ほしい。これからも、一緒に・・・・・・!」

 

 その日々があったからこそ、鏡夜が倒れた時に必死に頑張れた。彼が離れていこうとする中、引き留めようと手を伸ばせた。お互いがお互いに特別となっていく、半身であるかのように手放せないものへとなっていく。だからこそ、貴方に一緒にいてほしいと手を伸ばす。

 

柔らかな追い風が背を押すかのように、温かく優しい味のあるのがこの作品であり、そんな温かさの中に少しずつ育まれ、醸成されていく甘さがあるからこそ。この作品はラブコメとして、面白さの一つの高みにあると声を大にして言いたい。

 

柔らかなラブコメが好きな読者様は是非。

 

 

きっと貴方も満足できるはずである。