読書感想:隣の席の美少女をナンパから助けたら、なぜかクラス委員を一緒にやることになった件

 

 さて、召喚ものというか異世界に召喚されるという始まりから綴られる作品は、何か理由があって異世界に召喚される訳であるが、理由を果たした後はどうするのか。異世界に骨を埋める道を選ぶ者もいるし、元の世界に帰る道を選ぶ者もいる。当然である、理由を果たしたとて彼等の人生は終わらないのだから。どちらの道を選んでも、彼等の人生は続くのである。

 

 

そして元の世界に帰ったのならば、異世界で培ったスキル、若しくは経験を生かしてその後の人生で無双していく事も多い。この作品もそういった作品なのである。

 

「こっちの世界ではちょっとくらい楽させても罰は当たらないよな」

 

十五の夏休みの終わり、異世界「オーフェルマウス」に呼び出され、五年の月日をかけ魔王を討伐した勇者となった少年、修平。彼は最後、元の世界に帰る事を選び召喚された当時の時間に帰還し。クリアボーナスと言わんばかりに、宿っていた異世界のスキルとフィジカルを確認し、元の日常へ戻る中。新学期開始早々、級友であり学校一の美少女、佳奈(表紙)がナンパに絡まれているのを目撃し。勇者スキルを使う事もなくフィジカルのみで一蹴する。

 

「でもほんとにほんと、すっかり明るくなったよね。いい感じだと思うよ?」

 

夏休み前のもやし陰キャな彼を知るからこそ、彼の急激な変化が気になって。何気なく連絡先を交換し、クラス委員を一緒に努めることになって。新しい毎日が始まる中、佳奈はどんどん修一の事が気になり始めていく。

 

勉強もすらすら、体育においてもバスケ部エースを一蹴するくらいの大活躍。どう考えても変貌、どころか変身レベルに変わった彼。更には頼もしさも物凄く増し、いつの間にかクラスの中でも頼られ引っ張るような立場になっていく。

 

一緒に帰るような仲になって、時にカフェに寄り道したり。時には一緒にショッピングモールに出かけたり。特につきあってはいないけれど、それでも普通の友達よりは仲良くなる。そんな中、巡ってくるのは文化祭の季節。先人達のやらかし多数により禁止条項が多い中、修平がその穴を衝く出し物を提案し、彼の提案に乗ったクラスが動き出す。

 

「はぁ、わたしって自分勝手だよね・・・・・・」

 

始まる慌ただしい生活の中、修平が活躍しない訳もなかった。自動発動している勇者スキルで準備の段階でもとんでもない能力を見せ、更には文化祭本番でもスキルと培ってきたコミュニケーションの力で何事もさらりとスマートに、八面六臂に活躍しこなしてみせる。

 

その彼に惚れぬ訳もなく、けれど自分は釣り合わないからと恋心を押し込めようとして。けれどきっと心は殺せない。その心はきっと、溢れ出す時を待っているから。

 

勇者スキルで無双の爽快感がある中、じれったくて甘い真っ直ぐな青春が楽しめるこの作品。王道な青春ラブコメが読んでみたい皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるである。

 

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