読書感想:実は同じ職場にあなたを好きな人がいます 転勤先は美女だけの営業所!?

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 さて、この作品の感想を書いていく前に画面の前の読者の皆様、特にこれから社会に出ていくという読者様に向けて一つの注意点を先に提示させていただきたいと思う。この作品で描かれているオフィスラブ、これは確かに存在している。だがしかし、存在していない業種もあるのである。特にどちらかの性別が極端に職場の立場が上だったり、職場に男性又は女性ばかり、という場合は存在しない事もある。そのような点は、職場の人間関係、ひいては居心地の問題にも繋がるので、これから社会に出ていく為に職場を選ばれる読者の皆様はそこにも注意していただきたい次第である。

 

 

さて、ではこの作品は一体どんな作品なのかと言うと。全社員四名も小さな営業所を舞台とした社会人のお仕事ラブコメである。つまりは中々見かけぬジャンルの作品であり、社会の光も闇も覗けてしまう作品である。

 

人材派遣会社で働き三年目、営業マン兼キャリアアドバイザーとして着実に成果を上げつつある青年、凛太。そんなある日、彼は最近業績が下がり気味な営業所、「志水営業所」へと転勤を命じられる。

 

 そこは女の園と呼べるかもしれぬ、女性社員しかいない営業所。そこで出会うのはクールな後輩、ルカ(表紙)、毒舌系同期、ほのか、仕事に厳しい上司の麗華の個性的な三人の女性である。

 

当然すぐに受け入れられる訳もなく、警戒から入られる凛太と三人の女性の関係。

 

しかし、そこで止まらなかった。凛太はどちらかと言えば仕事人間に属するタイプの人間であり。同時に今まで真摯な態度で築いてきた信頼関係がすぐに彼にとっての追い風となる。

 

だからなのだろう。そんな彼に同じ職場の女性達も、取引先の女性達も引き寄せられていくのは。

 

真摯な態度で、真剣な目で仕事に、そして目の前の同じ社会人である相手に向き合い。時に押し付けられた理不尽にキレ、時に自身の利益にならずとも全てをさらけ出す勢いで顔を突き合わせ、方策を考える。

 

 そこに描かれているのは、社会人として大切な色々なこと。そしてオフィスラブという一種の理想の本当の姿。大人だけれど子供と同じ、場所は違えど根底は同じな恋の輝きなのである。

 

惹き寄せられる思いは否定できない、そしてあの日から続く熱もまた。引く事が無い思いと今まさに生まれた思いは交錯し、舞台に波紋を投げかける。

 

「凛太先輩・・・・・・大好きです」

 

小さな波紋を打ち消すかのようにつぶやかれ、投げかけられた大きな波紋。だが、まだ始まったばかりである、何もかも。

 

職場と言う一風変わった舞台で、仕事の楽しさというエッセンスがあるからこそ。この作品はラブコメとして面白いのである。

 

今時のラブコメに飽きた読者様、社会の風を感じてみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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