読書感想:Sランク冒険者である俺の娘たちは重度のファザコンでした2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:Sランク冒険者である俺の娘たちは重度のファザコンでした1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、前巻の最後で三人の娘はエンシェントドラゴンの襲撃を受けた村で助けた赤ん坊であり、血のつながりのない義理の娘である事を明かしたカイゼル。それを聞いて、エルザ、アンナ、メリルの三人は何か変わるところがあっただろうか。そう聞かれたならこう返そう。変わると言えば変わった所がある、と。

 

それは、カイゼルに対するアプローチがより過激になったという事である。例えば、メリルがカイゼルの寝床に朝、真っ裸で潜り込んだり風邪をひいて看病されるアンナがちょっと大胆なお願いをしてみたりといった具合に。しかしそれも当然であるのかもしれない。何故なら、義理の親子である。故に、結婚しようと思えば結婚できる、できてしまう。周囲の反応はさておき、血縁的には問題がないのである。

 

が、しかし。そこに水を差さんとするかのように、とある女性が現れる。彼女の名はレジーナ、大剣使い。一体誰なのかと問われれば答えは只一つ、十八年前までカイゼルとパーティを組んでいた仲間である。

 

「だが、結果は期待外れだったな」

 

カイゼルが育てた娘は如何程の実力か、と突然喧嘩を売ってきて。そしてエルザを軽々と打ちのめしたレジーナは溜息を吐いて吐き捨てる。価値はない、と。

 

だがしかし、カイゼルはそんな事は無いと反論し、エルザは戦いの中で目撃する。二人で組んだ、まるであの日の戦いを思い出すような異次元の戦いを。

 

「カイゼル。お前と共に戦うのは久々だ。胸が躍る」

 

「私たちにとってはこれくらいの劣勢がちょうどいい」

 

「レジーナ。しくじるなよ」

 

「誰に向かって言っている?」

 

普通の人間であればあっという間に死んでもおかしくはない死線。周りはサイクロプスだらけの絶体絶命。そんな中、背を預け合う二人は高揚感に笑い、たった二人で蹂躙劇を繰り広げる。

 

そう、カイゼルはまだまだ現役でもいける。そして望めば、あの日立ち止まってしまった先まで行ける。それだけの力がある。

 

「レジーナ。俺の青春時代はもう、終わったんだよ」

 

そう、彼の青春時代は、後先も考えず走り抜けていればいいだけだった時代はもう終わってしまった。

 

だけど今、彼の背には守らなければならぬ愛娘達がいる。だからこそ、あの日は知らなかった力が今、彼の手の中にはある。

 

だがしかし、未だ不穏の影はすぐ近くにある。メリルを襲った影の正体、それは恐らくカイゼルの昔の仲間の一人。果たして、今度はどうなるのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、家族の絆を味わいたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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