読書感想:社畜ですが、種族進化して最強へと至ります

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方はもし、知らぬ間に自分の日常が侵食されているとしたらどうするだろうか。気付かぬ間に世界が見知らぬ要素に浸食され、日常が狂っているとしたら貴方はどうするだろうか。

 

日本のとある企業に勤める青年、秋人(表紙左)。彼は自他共に認める社畜であり、立派な企業戦士である。日々ブラック企業で身を粉にして働く、勤労青年である。

 

そんな彼には、周囲に秘密にしているとある秘密があった。その秘密とは、自分の家の庭に、どう見てもダンジョンとしか言いようのないものが存在しているという事である。

 

初めて入ったダンジョン、その中で出会ったゴブリン。そして犯した初めての殺害、そして手に入れた謎の石。

 

その瞬間、確かに世界は変わり出した。変わり始めてしまった。秋人がゴブリンを殺した後、世界には何故かゴブリンが溢れ出してしまったのだ。

 

「スライムや、オークにゴブリン。まさに息子がやっているゲームだな。馬鹿げている!」

 

続々と現代世界に溢れだす魔物達。その中で、普通の人間はあまりにも無力であり。対抗できる武力を持つ者は現代日本においては、あまりにも稀少であり。

 

だが、誰の思惑かも知らぬ状況の推移は、誰かの願いを待たずに突き進み、世界は否応なく謎のアップデートに巻き込まれていく。

 

唐突に国民達の前に現れた、人種選択の選択肢。ゴブリンを始めとして世界に溢れだす魔物。そして呼応するように、力を与えられ目覚め、舞台に上がっていく異常なる者達。

 

今ここに、間違いなく始まってしまったのだ。旧来の世界の崩壊、体制と秩序の崩壊が。

 

力なき者は容赦なく淘汰され、力ある者はすべてを得る。

 

そんな慈悲なき世界へと突き進む中、秋人の心の中に目覚める、無くしていた筈の想い。

 

「ううん、違うよ。先輩、今、泣いているから」

 

「そうか・・・・・・」

 

「そうだったんだな」

 

それは、憧れ。それは、かつて持っていたはずの弱者に対する正義感。そして今、彼は無力な社畜ではもう、ない。相棒である女神を名乗る不思議な黒猫、クロノ(表紙右)と一つになった時、彼はヒーローとなる。

 

見逃せない、見逃したくない。その為の力は今、この手の中に。

 

この作品は、魔物や魔物と同等に怖い人間達を相手に、仮面のヒーローとなった秋人が果敢に挑みかかり、必死に立ち向かう作品である。

 

同時に、そんな彼が助けた誰かに影響を与え、確かにヒーローになっていく作品なのである。

 

駄目な大人がヒーローになっていく作品が好きな読者様、無くした何かを思い出したい読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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