読書感想:Sランク冒険者である俺の娘たちは重度のファザコンでした 5

 

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読書感想:Sランク冒険者である俺の娘たちは重度のファザコンでした 4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、一年ぶりとなる続刊である今巻、前巻までのこの作品の流れを覚えておられないと言う読者様は、上記の感想を見て来ていただくとして。魔法学園の講師、更には冒険者でもあるカイゼルが様々な層からモテる、というのは画面の前の読者の皆様はご存じであろう。ではここでこんな事を思われた読者様もおられるのではないだろうか。カイゼル、果たして好敵手的な存在はいなかったのだろうか、と。それに対する答えが描かれるのが今巻であり、好敵手と言う足りない成分が補われるのが今巻である。

 

 

 

「君をずっと捜していたよ、カイゼル」

 

嫁探し騒動も一段落、ノーマンと飲み会をする中で語るかつての好敵手、のような存在。その存在は、昔と変わらぬ熱量を以て、カイゼルを追ってくる。その名はリバル。魔法の超名門の貴族の出身でありながら自信を唯一負かしたカイゼルを追い、家を捨てて冒険者になった男。久しぶりの再会、すぐさまもつれ込む決闘。その行く末は何とかカイゼルの勝利で終わるも、第二ラウンドと言わんばかりの新たな勝負が巻き起こる。

 

「だがそれもここまでだ」

 

 それはリバルが父親となり母親となり育てた三人の娘。それぞれエルザ、アンナ、メリルに対抗する三人の娘。その実力は言うまでもなく、娘達に及ぶほど。が、しかし。リバルの思惑を超え、娘達はそれぞれの分野で仲良くなり始めたのである。

 

エルザと同じ騎士団に入隊した、不思議系陰キャなスノウはエルザとぶつかり合い、互いに実力を認めあい。

 

アンナと同じギルド職員となったドロテアは、小悪魔的な秀才ぶりでどんどん成り上がるも、アンナの今までの功績を改めて知らせる結果となり、結果的にギルドの双璧的存在となり。

 

メリルと同じ魔法学園に入学した、悪に憧れる真面目系なガーネットは、隔絶した実力を見せつけられメリルの舎弟的な存在となり。

 

 

「高みだけを目指していた頃より、今の僕は弱くなった」

 

「その逆だろう」

 

 

それは予想外、しかし好ましい変化。親として見守るリバルとカイゼルが共有する思い。しかしその思いを引き裂くかのように、礼儀正しい謎の魔族がやってきて。リバルの三人娘に隠された秘密が明らかとなる。

 

娘達を護るため、カイゼルの敵となる事を選ぶリバル。今度の激突はどこか悲しく、しかし親として何も対策を用意していない訳もなく。

 

「いなくなったら、張り合いがないだろう」

 

ならば最後の一手、詰めるのは好敵手であるカイゼルの役目。リバルの娘達の手も借り全員で。魔人との因縁を終わらせるのである。

 

前巻とはまた違う面白さのある、待たされた分の面白さがある今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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