
さて、もし人の心が読めたのなら。それは耳にとってはうるさいのではないだろうか。アニメやラノベにおいてそのような超能力、というのは作品ごとによって使い勝手が異なったりするものである。文字通り不便なものであったり、逆に使い勝手が悪かったり。ではこの作品において主人公である純斗が持っている能力、「テレパシー」はどちらかというと。物凄く使い勝手が悪い方の能力である。
文字通り周囲の人たちの心の声、思考がごちゃ混ぜになって聞こえ、まるでバンドフェスの騒音のよう。しかし純斗自身にその能力は制御する事は出来ず、完全ランダムなタイミングで勝手について勝手に消える。
『毎回思うけど、あの先生、竿役にいそうだよなぁ・・・・・・』
その傍迷惑な力で知ってしまった事実は色々あるけれど、その衝撃的な一つが、隣の席の美少女、莉央(表紙)の心中。成績優秀、運動完璧な超絶クール美少女、しかしその内面は煩悩塗れのピンク塗れ。クラスで読んでいるのは官能小説、男性教師を見れば竿役にして妄想を繰り広げ。そんな相手にいつも成績で負けている、とどこか釈然としない気持ちを抱いていた。
「ということは、私たちもう同志ってことよね?」
そんな気持ちも押し隠し、仲良くなる事もなく。純斗に好意を抱いている級友、まひるとその親友である友香と絡んだりしつつ。ある日、偶々莉央が告白されているのを見かけた後、感づかれてしまい。だが何故か莉央は知られたのならば同志だと懐いてきて。本当に気づかれている、訳ではないけれど何故か同志としての関りが始まっていく。
「・・・・・・男の人って、慣れてないの」
気が付けば仲良くなっていく中、知っていくのは莉央の素顔。外面は完璧、しかしその内面は親の期待に応えようと様々な事を背負い込んでいるだけの、ちょっと頭が桃色なだけの普通の女の子。男は苦手、な普通の子。家に招かれて布教されたり、といった展開もある中で。莉央は母親と喧嘩してしまい、家を飛び出して。そこで純斗に助けられることに。
「それは、莉央さんのことをちゃんと見てあげた上での選択なんですか?」
押し付けられる期待、応えようともがく重圧。それを自分も知っている、経験がある。だからこそ今潰れそうになっている莉央を見過ごすわけにはいかない。友達、として己の思いを莉央の母親にぶつけて。親子の歩み寄り、そこへと背を押してあげるのである。
内面が煩悩塗れなヒロインに萌える、かもしれぬ割とさらっと読めるラブコメであるこの作品。ギャップに萌える、かもしれない物語を見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 誰もが羨む隣のクール美少女、実は脳内ピンクすぎる (ファンタジア文庫) : オーミヤビ, あろあ: 本