読書感想:誘拐されそうになっている子を助けたら、お忍びで遊びに来ていたお姫様だった件

 

 さて、お姫様との恋物語と言うのは古くにはローマの休日、平成になれば夜明け前より、瑠璃色な。や 小学星のプリンセス等様々存在している訳であるが。身分差のある恋物語と言うのは古くはお友達終わりなビターエンド、平成辺りからは障害を乗り越え結ばれていくハッピーエンドが多い気がするのは私だけだろうか。ではそろそろこの作品に触れていきたいわけであるが。どういう作品かと言うと前説を読んでいただければわかるとは思うが、お姫様とのラブコメである。

 

 

そして、作者であられるネコクロ先生の作品を読まれている読者様であれば作風はご存じであろう。主人公、ヒロイン、または両方が何らかの事情を抱えていたりするパターンが十八番でありその重さはそれぞれ。私は心の中で事情が軽ければ白ネコクロ先生、重ければ黒ネコクロ先生と密かに読んでいたりする。ではこの作品はどちらかと言うと。白か黒かで言えば、圧倒的に白なのだ。

 

幼馴染みである莉音に告白するもフラれ、その直後に親の再婚で莉音と義理の家族になってしまい、何となく気まずくて一人暮らしをしている少年、聖斗。夏休みのある日、買い物帰りに目撃したのは、外国人の女の子が黒服の男二人に攫われそうになっている現場。 放ってはおけず、勇気を出して乱入し。アイスによる打撃と金的二発で黒服たちを何とかダウンさせ、少女を助けることに成功する。

 

「匿って、頂けませんか・・・・・・?」

 

すると、ルナ(表紙)と名乗る彼女に追われているので数日間匿って欲しいとお願いされ。放置しても置けず、受け入れることに。こうして一人暮らしの彼の家で、まるで同棲のような生活が始まる事に。

 

『・・・・・・本当に、お優しい御方・・・・・・』

 

身体の洗い方も分からぬ程の世間知らず、かと思いきやぐいぐい来たり、彼シャツをしてみたり。一緒にアニメを見たり、同衾したり。 数日間の半同棲、その後にルナは意を決した様子で迎えを呼び。迎えに来た少女、アイラに色々聞かれて答えて。それでお別れ・・・・・・

 

「私はそちらに座っておられる桐山聖斗様の―――婚約者です」

 

・・・・・・かと思っていた。だけど、運命は動き出した。新学期、留学生としてやってきたルナは、聖斗の婚約者であると堂々名乗り。ここでようやく聖斗は事情を知らされる。

 

ルナは実は、小国ながら理想郷のような国、「アルカディア」の第七王女。日本にはアニメの聖地巡りという建前できたが本当は、母親である女王から押し付けられた婚約から逃れる為、運命の相手を探すために来た、という事。 そして助けられた事で聖斗に惚れこみ、誤解ながら既成事実を作った事で、彼を婚約者にする事に成功した、という事。女王と第一王女は大賛成、残る第二から第八王女もそれぞれの思惑から賛成した、という事。

 

「俺はルナと婚約者になれることを、嬉しく思ってるよ」

 

そして聖斗の両親にも話は通し済み、つまり既に外堀が埋まるどころか内堀も埋まっているようなもの。 大阪城か、というツッコミは各自でしていただくとして。一先ず莉音も納得し、聖斗も婚約を受け入れた事で。婚約者、そしてお隣さん同士へと名前を変えた二人の関係は始まる。

 

「俺もずっとルナと一緒にいたいよ」

 

再び始まる半同棲、一緒に料理をしたり、また同衾したり。だけど思う、これでいいのか、と。 自分は彼女に釣り合っているのか、悩んでしまう。彼女を求めるのは、自分の心の傷をいやすためなのか、と。 だけど彼女はそれでもいい、と。自分の負い目も曝け出す。 王族としての幸せではなくごく普通の当たり前の幸せを望む彼女。ならば迷う必要はない。一緒に居たい、それだけでいい。改めてお互いの想いをすり合わせ。当たり前の恋人、甘々を紡いでいくのだ。

 

ヒロインの可愛さ爆盛り、こまけぇこたぁ良いんだよいちゃいちゃしやがれ、と言わんばかりに甘々な展開で攻めてくるこの作品。だからこそ尊い、だからこそ悦いのだ。

 

こそばゆく悶えるようなラブコメを見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 誘拐されそうになっている子を助けたら、お忍びで遊びに来ていたお姫様だった件 (GA文庫) : ネコクロ, Noyu, Noyu: 本