読書感想:路地裏で拾った女の子がバッドエンド後の乙女ゲームのヒロインだった件2

 

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読書感想:路地裏で拾った女の子がバッドエンド後の乙女ゲームのヒロインだった件 - 読樹庵

 

 

 さて、前巻で「絆の魔法と聖なる夜会」、通称「キズヨル」のバッドエンドを迎えた後のヒロイン、フィーネを助けた我らが主人公、アッシュであるが。ここで忘れてはいけない事がある、それは何か。それはこの作品、原作のストーリー的には既にバッドエンド後。つまり終わりを迎えるまでの猶予期間、と言えるものではないだろうか。

 

 

と言う事は、ここから原作のエンドをぶっ壊そうとするのなら既に状況は大分後手、ヤバいくらいに詰みかけ、難易度は高い、と言っても過言ではないだろう。しかしそれはまだこの巻には関係ない。今巻ではフィーネとの仲を深めつつ、世界観を少し深める巻なのである。

 

「終業式が終わったら一緒にわたしの故郷の村に行きませんか!?」

 

前巻、夜会襲撃事件も何とか乗り切り、しかしアッシュを悩ませるのは実家からの数々の書簡。アッシュが叙された子爵の地位を取り込むべく縁談話ばかり送ってくる実家の対応に寝不足になるアッシュへ、フィーネが持ち掛けたのは自分の故郷であるカガト村への旅行。ゲーム内では特定キャラとの攻略ルート解放後か二年生の時のみ発生するイベント、もしくはノーマルルートEDでしか訪れぬスチル回収くらいしかやることのない場所。だがここには、ここでしか入手できぬとあるレアアイテムがあり。保険として回収するためにも、其処へ行く事に。

 

「あんたらに不始末のけじめを取らせる。それが身内のせめてもの慈悲ってもんですよ」

 

しかしやはり面倒事は待っている。列車での旅行中に襲い掛かってくるのは賊。その狙いは、偶々乗り合わせていたアッシュの義姉のカルラと姪であるアイシャ。フィーネの実家ともいえる孤児院の子供達と交流したり、秘密の場所を教えてもらったりと交流する中、村に襲い来るのは実家からの刺客。その狙いはカルラの実家にあるとある「宝」。最早容赦もいらんと実感し、実家との決着をつけることを決め奇襲をかけ。父親も兄もぶちのめして捕えて、決着をつけることに。

 

「わたしには好きなだけ甘えてください」

 

しかし家族を手にかけたという事実は苦い傷となり、フィーネはそれを受け止めて。あっという間に夏季休暇も終わる中、持ち上がるのは次の問題。エリーゼ事件の余波、学院を揺らす勢力図の流転。貴族世界の黒さに巻き込まれそうな気配を感じる中、そこで出会ったのはアニエスという、原作においては親友枠となる少女。

 

虐められていた彼女と関わり交流を育む中、何故かフィーネの回復魔法が彼女には効かないという小さなイベントが起きて。その理由を探る為、彼女の夢の中に潜ってみることに。

 

「いいや。お前は悪魔じゃない」

 

そこにいたのは、アニエスの心を護ろうとしていた悪魔。その正体を看破、アニエスの心も解きほぐして。彼女の事も助けることに成功する。

 

しかし、忘れてはいけぬ。この作品、既にバッドエンド確定後、という事を。アイシャが何か妙な様子を見せる中、発生するのはクリアされる事のない、クリアしなければバッドエンド直行の重要イベント。 そもそもクリアの機会も与えられぬ試練に対抗する一手とは。

 

色々な事が起きて世界観が広がる中、よりラブラブさが増す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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