読書感想:ひきこもりの俺がかわいいギルドマスターに世話を焼かれまくったって別にいいだろう?3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ひきこもりの俺がかわいいギルドマスターに世話を焼かれまくったって別にいいだろう?2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、引きこもりをしていたい筈が、一度外に出てしまった事で結果的に追い出される大義名分を与える事になり、段々と彼の名が知られてきた事で徐々に依頼の数も増えて来て、何だかんだとそれを全部解決できてしまうからこそ休めない。そんな我らが主人公、ヴィルであるが、彼は意外と周りの人から愛されているし慕われている、というのは前巻まで読まれた読者様であればご存じであろう。だがその愛されぶりが、時に厄介事を連れてくるというのが分かるのが今巻であるのだ。

 

 

「兄さん、本当に心配なんですけど。大丈夫ですよね。信じていいんですよね?」

 

相も変わらずひきこもりを続けようとするヴィルを、相変わらず父親は追い出そうとしてきて、そんな彼をアーニャが呼びに来てその様子を見た、イケメンで優秀なヴィルの弟のトニーが目撃し危機感を抱いたり。そんな一幕がありつつも、本日も始まるヴィルのお仕事。だが何故かそれは歯ごたえのあるものが数多く。貴重な薬草回収からキノコ回収まで、東西奔走させられる中日に日にクエストは増えていく。

 

そんな状況において、根がぐうたらな彼がしんどくない訳もなく。引きこもれない日々がどんどん続いていく中でやつれていくヴィルを心配したトニーが協力を申し出て。結果として大助かりにはなるも、あまりにも優秀過ぎるトニーの活躍により、今度はヴィルの仕事がなくなっていく。

 

 だがそんな中、とある理由からヴィルに認めてもらいたいトニーは、忸怩たる思いを抱いていく。その根底にあるのは自分では決してできぬ活躍をする兄への憧憬、言わばブラコン的理由。そこに絡まる影が二つ。突然街に現れた謎の手品師、ステファニー(表紙右)。そして魔王の遺品である魔剣、カタストロフィの精霊であるフィーネである。

 

新たな魔王として、主としてヴィルを見定めたフィーネは巧みにステファニーを呼び寄せ彼女を操り。魔王主義に傾倒していたステファニーはその誘いに乗り、隣国との友好百周年のイベントの中で騒動を巻き起こす。

 

次々と現れる魔物達、だがそれは前哨戦に過ぎず。巡り巡って魔剣を手にしたトニーがヴィルを狙い襲い来る。

 

「今日はお前のために大盤振る舞いをしてやるぜ!」

 

決して負けるわけにはいかぬ。家に伝わる聖剣を手に、ぶつかり合う二人。始まるのはちょっと物騒だけれど微笑ましい兄弟喧嘩。

 

「でも、ひきこもりの俺がかわいいギルドマスターに世話を焼かれまくったって別にいいだろう?」

 

 その先、何故かついてきた魔剣と共に申し付けられたのは国王からの魔王の遺物回収依頼。結果的に就職へと傾く彼の心は、甘やかされてまた引き留められて。

 

でも、就職を考える程度には動いた。そして長期的な仕事も出来た。ならば何かが変わりだす、のかもしれない。

 

ちょっとドタバタな面白さがある今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ひきこもりの俺がかわいいギルドマスターに世話を焼かれまくったって別にいいだろう? 3 (HJ文庫 と 05-01-03) | 東條功一, にもし |本 | 通販 | Amazon