読書感想:サキュバス四十八手

 

 

 さて、四十八手というのはエロ的な用語、と見せかけて本当は相撲の決まり手の数であるが。相撲中継を見た事のある読者様であれば、何となくお察しではないだろうか。そも、四十八手もあるけれど大体使われる手って十種類にも満たないのでは、と。因みにエロ的な用語の方の四十八手も、検索してみるとこれ現代だと絶対にやれないだろ、というものの方が多かったりする。

 

 

 

という前置きから分かっていただけたかと思うが、この作品は四十八手というものが関わってくる。しかしサキュバスの四十八手である、つまりはエロ用語の方である。するとどうなるのか。ダッシュエックス文庫では時々出てくる、がっつり性描写が絡んでくる作品となるのである。しかもそれを書いているのは、あの「ひげひろ」で有名なしめさば先生である。読んだだけで温度差で風邪をひくかもしれないし、しめさば先生大丈夫か、と心配したくなるかもしれない。その辺りにもご留意いただきたい作品である。

 

人間と魔族の争いが長く続き、しかし段々と人間側が劣勢に立たされ。勇者パーティという特化戦力の奮戦により、何とか膠着状態を保っているとある異世界。かの世界の勇者パーティのヒーラー担当、聖魔術師のアベル。人より性欲が強く、よく勃起しているということと、魔力の量がとんでもないと言うこと以外は、まぁふつうの青年。そんな彼はある日、勇者パーティから追放と相なった。しかし、彼に別に欠点はない。あとパーティ内の関係も別に良好である。では何故か、それは国王陛下からの命令。

 

「あなたの精液とチ〇ポが国益になると判断したからです」

 

一体どういうことか、というと。 そのカギを握っているのは、極東に存在していた、歴史上から忘れられた種族であるサキュバスだけが住まい、文化を継承する島からやってきた巫女、スズカ(表紙)。彼女が持ってきたのが、「サキュバス四十八手」という儀式。皇子と巫女で儀式の通りに、その体位通りに四十八回交わる事で。すべての災いを打ち払う力を得られる。 要はセックスする事が世界を救う、というどう考えても妖しさ満点なもの。しかし国王は状況の打開にそれに頼る事に決め。 国内の全冒険者の精液と性器の測定を経て、アベルが皇子に選ばれたのである。

 

四十八手を実行するのは制限時間あり、更には実行中は他の女性ともセックスできず、自慰も出来ぬ。 否応なしに押し付けられ、始まるのは四十八手の実行儀式。時に王宮お抱えの薬剤師であるエーリカに手を借りたりしながら。時に様々な道具を作りながら、お互いを知っていって。その先にセックスに励む事で、少しずつ世の中の摂理を飛び越え、結果が世界に刻まれていくのだ。

 

「ようやく、役に立てる」

 

その中、見つけていくのは自分の役割。 役目を見出せなかった彼が見つけていく、自分にしか出来ぬ唯一の事。だが、彼等はまだ知らぬ。この四十八手、どうも魔族側では別の認識をされているらしいという事を。

 

とにかくセックス、頭の悪くなりそうな、真っ直ぐなエロ展開が見所である今作品。エロに浸りたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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