読書感想:ねぇ、もういっそつき合っちゃう?4 幼馴染の美少女に頼まれて、カモフラ彼氏はじめました

 

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読書感想:ねぇ、もういっそつき合っちゃう?3 幼馴染の美少女に頼まれて、カモフラ彼氏はじめました - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 本物よりも本物らしい、正市と十色の偽装カップル。前巻、決定的な変化の引金は引かれ、あとは変わっていくばかり。しかし忘れてはいけない。彼等の関係が変化していくのならその方向性は未知であると言う事。正市も十色も、本当の意味では分からないのかもしれない。だけどもう、変化は止められないのだ。

 

 

そして、彼等が恋に向き合う様に。周囲にいる恋人未満なカップルの卵達もまた、己の恋の行く末に思い悩む時が来る。今巻、主役カップルとは別にもう一組、主役級の描写を貰う二人。駿と楓に一つの変化が訪れるのが今巻なのである。

 

「大丈夫。わたしたちなら出来るよ」

 

学祭の日が近づき学校全体が浮つき始める中、正市たちのクラスの出し物は、正市の案による「名北ギヌス記録」に決定し。発案者として準備に駆り出される事となる中、二人は楓からの依頼により、駿に本当の意味で諦めさせるためにカップルグランプリへの出場を決める。

 

「十色と船見、どっちが好きなんだ?」

 

親友である猿賀谷もまゆ子に誘われ出場する事となる中。偶々訪れたゲーセンで駿と遭遇、更には他校の不良に絡まれた事で彼の過去の一端を目撃し。本物の好きを感じられない、と言葉の刃を突き付けてくる駿に逆に答えを求めると言う切り返しをし。彼の様子に、正市は彼が答えを出そうとしているのでは、という予感を感じる。

 

迎える当日、遂に始まるカップルグランプリ。絆を求められる予選をクリアしていく中、明かされる駿の過去の一端と、迷う彼の心。

 

過去を払しょくするために、十色という輝きを求めた。けれど今、楓が隣にいる。自分の過去を何となく察しつつある、彼の事を何も関係なく愛してくれる彼女がいる。

 

打算か、それとも本物か。彼もまた二つの思いの間で戸惑い、思い悩む。

 

「二人で一番になろ?」

 

その彼へと楓が届けたのは、彼にしかわからぬ重みをもつ言葉。二人で一番、一人ではなれぬ。それはそうだ、「カップル」なのだから。何も飾らぬ純粋な思い、それを伝えられた事で。駿もまたようやく、己の思いを固めて思いに応え。見事にグランプリの優勝を掻っ攫っていくのだった。

 

「幼なじみのカップルになるの」

 

その裏、全部が終わった後で。正市の本心の吐露とも言える問いかけに、十色は自分なりの答えを返す。変わるわけではない、ただ新しい名前が増えるだけ、というその答えを。

 

「待ってるね、正市」

 

だからなのだろうか。幾つもの思いを見、それぞれの幸せを見つめて。正市もまた自然に一歩を踏み出せたのは。踏み出す一歩は小さくても、後はきちんと筋を通すだけ。さらに一歩、成就へと近づくのである。

 

より甘く煮詰める中、周囲の恋模様も描いていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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