読書感想:ガリ勉くんと裏アカさん1 散々お世話になっているエロ系裏垢女子の正体がクラスのアイドルだった件

 

 さて、SNSの世界には時として「裏アカ」というものが存在する。有名人の裏アカの内容が流出して炎上する事もあるように、自分とは全く別、何の関係もない自分だからこそ好きに、それこそイメージを損なうような発言も好きにできる訳である。だが、そういったアカウントを持っているのなら、気を付けなければならない。万が一露呈してしまえば、炎上を招くのも当たり前であるのだから。

 

 

あ、因みに私は裏アカという存在を持っていないので、探しても無駄であると先に明言しておきたい。もし私の裏アカらしきものがあったとしたら、それは私ではない赤の他人のアカウントか、私の偽物である。ではここまで書いてきたので、皆様もそろそろお察しただけたかと思うが、この作品は「裏アカ」というのが絡んでくるお話なのである。

 

成績優秀、しかし教師とはぶつかり合ってばかりで内申点は低め。蔑称ではなくあだ名として「ガリ勉くん」と呼ばれ彼の取るノートは、様々な生徒から頼りにされている。そんな日々を送る少年、勉には密かな趣味があった。それはSNSでエロ系の裏アカの画像をあさる事。自分の信念に従い、日々捜索に没頭する中。「RIKA」と名乗るカリスマ系裏アカに彼は最近、熱中していた。

 

「何でわかったの?」

 

 そんなある日、彼はふと見かけた身体的特徴からその正体に行きついてしまう。その正体、その名は茉莉花(表紙)。裏アカの匂いなんてしない学校一の美少女である。

 

しかし、茉莉花の方は勉の反応に唖然となってしまった。化粧を咎められていた自分を助けてくれたところから縁が繋がり、秘密を知ったとしても、それを盾に脅してくるなんてこともなく。寧ろ秘密にしてほしいと言われたらその通りにしようとする、その純粋さにある意味で驚きながらも。首尾よくその秘密は二人だけの秘密となる。

 

そんな秘密を共有する間柄となった二人。何気ないその縁は、気が付いたら続いていた。時につきあっているのかと周りに誤解されて、勉が敢えて悪役を買う事で納めたりしながらも。少しずつ、二人はお互いの事を知ろうとしていた。

 

他とは違う、誰とも違う。だからこそ何故か落ち着ける。そんな中、茉莉花の中に恋の思いが芽生えるのも必然であったのかもしれない。

 

だが、勉は目の前に提示されたチャンスに飛びつこうとしなかった。それは、ある意味誠実な理由により。

 

「私たち、友達から始めようよ」

 

そんな彼の姿勢に、茉莉花は自分の姿勢を反省し。まずは友達から、王道的な形で二人の関係は幕を開けていくのである。

 

裏アカから始まる、等身大で真っ直ぐなラブコメである今作品。ど真ん中なラブコメを読んでみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ガリ勉くんと裏アカさん 1 散々お世話になっているエロ系裏垢女子の正体がクラスのアイドルだった件 (HJ文庫 す 06-01-01) | 鈴木えんぺら, 小花雪 |本 | 通販 | Amazon