読書感想:優等生のウラのカオ ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり~

 

 さて、SNS界隈には「裏アカ」なるものが存在し、それが露呈することが時にちょっとした騒動となったりすることがある。SNS上でのいつもの自分ではないからこそ、自分らしくないことも出来る裏アカというもの。しかし取り扱いには注意したい次第である。因みに私の裏アカを知りたいと言う読者様はどうぞ探してみてください。と言ってもそもそも作っていないので、もしそれらしきアカウントが存在していたらそれは偽物であるが。

 

 

親友である夏彦と、その彼女である光莉と関わったりはするものの、基本的にはぼっち気質の少年、秋人。彼はある日、忘れ物を教室に取りに行った時、偶然にもとある少女の秘密を知る事となる。

 

「―――これでもう、私に逆らえないね」

 

 それは隣の席の優等生、優(表紙)が所謂「裏アカ女子」であるという事。一瞬の隙を突かれ弱みとなる写真を撮られて。その写真を人質に、秋人は彼女のいいなりとなる形で、マンネリ打破の為、彼女の写真撮影に協力することになってしまうのである。

 

中々に衝撃的な始まりから二人の関係が始まり、丁々発止のやり取りを繰り広げ時々喧々諤々としながら。写真を撮影したり、一緒に帰ったり、出かけたり。彼女のいいなりとなる形で、秋人の日常は散々にかき乱されていく。

 

「・・・・・・ああ、もう、どうしちゃったんだろ、私」

 

 だがしかし、秋人の日々がかき乱されるように、優の心もかき乱されていく。今までに出会った事の無いタイプの彼の事が分からなくなっていく。分からなくなり、どうしても知りたくなって。心の中で彼の存在が、少しずつ大きくなっていく。

 

一人でいる事を望んだはずなのに、まるで縋り寄りかかるかのように。どうしても期待してしまう、そんな心が止められなくなる。知りたいと言う思いが高まっていく。

 

そんな彼女を狙うストーカーの影、彼女の異変に気付き彼女の元へと駆けつける秋人。改めて向き合い、お互いの事情を曝け出す。

 

 何故気になるのか、惹かれるのか。それは二人が一番遠い所にいるように見えて、一番近くにいたから。まるで鏡に写したかのように、お互い過去に拭えぬ傷を持っていたから。

 

だからこそ、どうしても噛み合う。信じられぬ、信じたい。だけどお互い裏切られる辛さは知っている、だからこそまるで鎖のように縛られ裏切れぬ。

 

「・・・・・・改めて口にすると歪だね、私たち」

 

 二人を繋ぐは不純から始まる歪な絆。信用できない、信頼できない。だがそれでも、お互いの心と過去だけは信じられる。

 

正に不純、そう言うしかないだろう。だが根底にあるのは同じ傷と同じ思い。似た者同士、だからこそ一番理解できる。なればこの愛は不純か。否、一面においては純粋であり、故に純愛であるとも言える。

 

だからこそどこか背徳感と緊迫感のあるこのラブコメは、正にここにしかないのである。

 

何処にもないラブコメを読んでみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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