前巻感想はこちら↓
読書感想:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん4.5 Summer Stories - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻までを読まれた読者様が今巻の感想を開いているものと仮定し、ここから先の感想を書いていきたい。では早速。前巻の最後、政近の初恋の相手であると判明したのはアーリャの姉であるマリヤ。果たしてここから彼女も含めた三角関係の幕が上がるのか、と皆様も思われたかもしれない。そんな方は是非、今一度マリヤの性格を思い返してみて欲しい。彼女の性格は、果たしてアーリャとぶつかり合う事を是とするであろうか?
「やっぱり、アーリャちゃんとは競いたくないなぁ」
その問いに対する答えは、この一言。競い合う為に前に出るわけではなく、かと言って一歩引くわけでもなく。アーリャの想いに向き合ったうえで、それでも選んでくれるのなら、とマリヤは政近に答えを委ねる。その身の引き方は、マリヤという存在を初恋の感情と共に心の中に残す事となり。今一度思い返した感情と、今抱きつつある感情の間で政近は板挟みとなっていく。
けれど、容赦なく季節は巡る。思い出がたくさん詰まった夏を乗り越え、巡ってくるのは秋。学生にとってイベントの盛り合わせであるその季節はこの作品においても例外ではなく。生徒会長選挙の行方を左右する、学園祭の季節がやってくる。
会長選挙の新たな動きに備えて準備をするだけではなく、政近の元に持ち込まれたのは友人である毅からの相談。色恋沙汰で崩壊してしまった軽音部を学園祭に出演させるために、アーリャを巻き込み、更には彼の伝手で新たなメンバーを集め。新たな形となったバンドで、慌ただしくも学園祭に向けて準備を進めていく。
だが、そんな中。必要な事であるからとは言え、自分の見ている前で周囲と自分から距離を詰めていくアーリャを見、政近の中には独占欲が沸き上がる。自分だけの特別性が失われていく現状を見て、心が平衡を保てなくなっていく。
【あなたは特別だから】
だが、そんな彼を案じたアーリャの本音に心は平衡を取り戻し。彼本来のメンタルで学園祭へと臨み。そして会長選挙の新たなラウンドであるクイズ大会、政近が諸事情により加勢できぬ戦いの場で。政近のエールを受けてアーリャは意地と気合を見せ、流れかけた場をひっくり返す。
また新たな面白さが見える中、二人の関係がまた一段と高まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん5 (角川スニーカー文庫) | 燦々SUN, ももこ |本 | 通販 | Amazon