読書感想:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん6

 

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読書感想:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、文化祭編後半である今巻であるが。今までこの作品を読まれた読者様であれば何となくお察しであろう。絶対にロクでもない事が起きるし、平穏無事に終わるわけがないと。無論その通りである。やはり波乱は待っているし、乗り切らねばならぬものはある。ではそれを乗り切る為にアーリャが何かを為すのか、というとであるが。それは違う、というのを示していくのが今巻である。

 

 

そも、アーリャはまだまだ未熟である。成長途中でもあると言える、よく言えば無限の可能性。だが悪く言ってしまえば力不足。不測の事態に適切に対応できる力があるか、と言われるとまだ難しい。ならばそれを乗り切る力となるのは、やはり政近である。普段は昼行燈、だが力になりたい人の為に力を使う時、その本気は凄まじい戦果を出していくのだ。

 

【か~わいい♡】

 

「あなたが自分を許せないなら、わたしがあなたを許してあげたい」

 

政近のちょっと情けなくて可愛い所をアーリャが目撃して、小悪魔ちっくに笑ったり。マリヤの母星の暴力に危うく屈しそうになったり。悲喜こもごも、様々な者達の思いを乗せながら進む文化祭。前半は基本的に日常のドタバタであったり、ラブコメであったり。だがこの賑やかな空気は、一気に覆される。迎えるライブ本番、そこに現れたのは招かれざる客。しかもそれは一人ではない。何者かの手引きにより、迷惑行為を行う者達が何組も、集団で入り込んできているのだ。

 

「ええ、信じてる」

 

夢の舞台を汚す悪、それを許していいわけはない。アーリャにライブの準備を任せ政近は一人駆け出し。風紀委員を始めとする協力者達と各所を周り制圧しながら、この事態を引き起こした黒幕を探し迫っていく。

 

さて、黒幕の狙いは何か。それは無論、生徒会選挙。他候補の足を引っ張り、更にはそれを自分の人気取りに利用せんとする思惑。

 

【私の、魔法使い・・・・・・】

 

 ではその思惑を解決するのならばどうするか。簡単である。敵を完膚なきまでに粉砕するのなら、相手の土俵で圧倒的な力で殲滅してしまえばいい。五年ぶりに鳴らす音、そこに込めるのは初恋への決別。その音を以て彼は、過去に本当に別れを告げた。だけど、その音を聞いたアーリャは内心穏やかではいられなかった。その音は、彼の事をこれまでで一番遠くに感じさせる音となってしまった。

 

その寂しさは、彼を求める思いは。未だ彼女の中で明確な言葉を持ってはいない。その事実は、そしてこの感情は。これからどんな波紋を起こすのか。

 

青春、文化祭全部盛り。今までで一番面白いと言える今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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