読書感想:ランジェリーガールをお気に召すまま3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ランジェリーガールをお気に召すまま2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、下着デザイナーという高校生男子がやっている事にしては中々に衝撃的な事例から繋がった、澪や雪菜を始めとするヒロイン達との繋がりであるが、始まり、すなわちきっかけというのは始まってしまえばあまり関係がない、というのは画面の前の読者の皆様もご存じではないだろうか。始まりが何であっても、真剣に積み重ねた絆は嘘ではない。だが、前巻でラブコメとしては萌芽の段階を迎えた今作品。しかしここからが本当の始まりなのである。一気に駆け出していくのである。

 

 

シスコンである澪の弟、渚に一方的に難癖をつけ絡まれ、しかし男同士の語らいを経て何とか納得を引き出し。波乱も早々、レベルアップを望む恵太に乙葉が持ち掛けたのは、女子の心を理解するための臨海合宿。女子の心分からずして、いいものは作れぬ。その心を知る為に、ヒロイン達を誘い臨海合宿が幕を開ける。

 

 夏、そして海。そこに待っているのはラブコメであると言うのは画面の前の読者の皆様もお分かりであろう。だがそれだけではない。正直、恵太は一種の天才であり持ち得る者である。だからこそ、持たざる者の心が分からない所がある。そこに迫っていくのもまた、今巻なのである。

 

「せっかくなので、皆さんでゲームをしませんか?」

 

臨海合宿、雪菜から持ち掛けられたのは恵太の心をドキドキさせたものが勝ちというゲーム。勝ち残るためにヒロイン達それぞれが、己が思うアプローチを繰り出し彼の心を擽り。だが最後の決め手はやっぱりランジェリーで。

 

だが、それは一歩にすぎぬ。本当の意味で口火となるのは雪菜だ。とある作品に主演が決まり、しかし間食のし過ぎで胸が太ってしまい。恵太の指導の元にダイエットに励むも、時にスパルタながらも当たりの優しい言葉を投げるだけの彼は、雪菜の心に漣を立てる。何も分かっていないと反発し、二人の心が背中合わせになってしまう。

 

 彼女は今、頑張っている。そんな彼女を励ますにはどうすればいいのか? 様々なものを始まりから持っている、ならばどうすればいいのか?

 

「最初から、自分のやり方で応援すればよかったんだ」

 

―――その答えは至極単純。当たり前の事。恵太がそれだけしか出来ぬ、故に彼にしか出来ない事、下着づくり。それで応援するために、タブレットに向かい合い。突貫作業で仕立て上げたのは、彼女の為だけの「勝負下着」。

 

「私、恵太先輩のことが好きみたいです」

 

その真心に、優しさに。走り出した恋心は止められぬ。導き出されたのは彼女の告白。故、もう止まれない。嵐はここに起きてしまったのだから。

 

ブコメとして本格的に走り出す今巻、シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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